外務省は24日、テロ事件が続発する欧州在住者に注意喚起した。英マンチェスターのアリーナで、テロ事件にかかわっとされる容疑者宅の近くに貼られた警察による、立ち入りを制限するテープ( JON SUPER/AFP/Getty Images)
安全情報

欧州在住者に注意喚起、テロ続発で=外務省

外務省は24日、最近、発生した英マンチェスターでのテロ行為のように、ネット上でテロ行為が事前に通知された後に実際に発生したケースが続いていることを見て、欧州に在住する邦人に安全に注意するよう喚起した。

今月22日、英国マンチェスターでコンサートの終わりに爆発が発生し、80人を越える死傷者が発生した。これを受け、メイ首相は現地時間23日夜、テロ行為の警戒水準を当面最高レベルにすると発表した。

欧州では今年に入ってから、フランス、英国、ロシア、スウェーデンでテロ事件が多発しており、今後も注意が必要である。選挙が6月8日に英国、6月11日と18日にフランスで予定されている。また、5月27日から6月27日頃までは、イスラム教のラマダン及びラマダン明けの祭りがある。

欧州ではこれから夏にかけて、スポーツ大会、音楽フェスティバル、独立記念日を祝う行事などのイベントが各地で予定されており、これらの人が集まる場所はテロリストの標的になる可能性がある。

2015年パリ同時多発テロの犠牲者を悼むイベントが香港で行われ、現地のフランス人やヨーロッパ出身者がキャンドルや追悼メッセージをたむけた (Xaume Olleros/Getty Images)
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ネットでテロ事前告知のよびかけ その後、実行

最近、過激派組織によるテロ実行の呼びかけが、ネット上で行われている。外務省によると、告知の後に、実際にテロを実行したと見られるケースが続いている。告知では、銃器や爆弾の使用に加え、車両の突入やナイフによる殺傷といった比較的容易な実行方法を行うとしている。場所は屋外で行われる集会や行事、あるいはナイトクラブや映画館などの混雑した閉鎖空間をターゲットにするという。

外務省は邦人へのテロ対策として以下のように呼びかけている。

(1)最新の関連情報の入手に努める。

3カ月以上海外に滞在する方は在留届を提出し、3カ月未満の場合は「たびレジ」への登録を必ず実施すること。外務省の無料メール配信サービス「たびレジ」は渡航先の最新安全情報や、緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができる。

(2)以下の場所がテロの標的となりやすいことを十分認識する。

観光施設,観光地周辺の道路、記念日・祝祭日等のイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、ナイトクラブ、映画館等人が多く集まる施設、教会・モスク等宗教関係施設、公共交通機関、政府関連施設(特に軍、警察、治安関係施設)等。

(3)上記(2)の場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払う。

テロの発生、どう行動する?

ケースごとの事例では、不意な車両突入の場合、「ガードレールや街灯などの遮へい物がない歩道などでは危険が増す」、コンサート会場やスポーツの競技場等の閉鎖空間の場合、「会場には時間より早めに入る。終了後はある程度時間を置いてから退出するなど、人混みを避けるよう努める」こと。また「セキュリティの確保されていない会場の外側や出入口付近は危険であり、こうした場所での人だまりや行列は避けるようにする」ことをうながしている。

爆弾、銃器を用いたテロに遭遇した場合、発砲や爆発の音を聞いたらその場に伏せるなど直ちに低い姿勢をとる。さらに頑丈なものの陰に隠れ、周囲を確認し、可能であれば、銃撃音等から離れるよう、速やかに低い姿勢を保ちつつ安全なところに退避する。ただし「閉鎖空間の場合、出入口に殺到すると将棋倒しなどの二次的な被害に遭うこともあり、注意が必要」とのこと。

(編集・岳進)

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