世界食糧問題

人気投資「コオロギ」養殖も盛んに 食用たんぱく質源として

4年前、米ブラウン大学の同級生ギャビー・ルイスとグレッグ・スワイツの2人は、2,000匹もの生きたコオロギを注文した。彼らの目的は…栄養補助食品を作ることだった。

2人はコオロギをたんぱく質源とする「プロテインバー」を作るために起業した。「人々が喜んで支払えるような製品を作りたい」とルイスは大紀元英字版の取材に語った。インターネットで資金調達キャンペーンを展開したところ、72時間以内で2万ドルを集金することに成功した。

2人が立ち上げたEXO社は今年、ベンチャーキャピタリストから520万ドル(5億2000万円)を調達した。ルイス氏は、「米国や欧州の消費者にまったく新しい栄養源を取り入れるというアイデアに、多くの投資家が興奮していると思う」と述べた。

新興企業EXOはコオロギをたんぱく質源である

プロテインバーを製造、販売(EXO社)

EXO社の「コオロギ・バー」の成分はコオロギ粉末、カカオ、デーツ、アーモンドバター、ココナッツなど。5種の味を展開ジム、健康食品店、農家市場、オンラインショップなどで販売されている。

コオロギの粉末を食用品として使う企業は、おもに北米で増加している。EXO社をふくめ数十の新興企業が、クッキー、スナック、パスタ、ソース、パンを生産している。

農耕文化が培われた日本では、イナゴが食されていたことが知られている。稲を食べる害虫を捕獲し、水田から得られる重要なタンパク源として扱われ、多くの地域で食用とされた。 内陸部のたんぱく質不足、太平洋戦争中や終戦直後の食糧難には、イナゴを食べて飢えをしのいだという記録がある。しかし、現在では農薬の影響でほとんど姿が見られなくなった地域が多い。

北米最大のコオロギ養殖業社「エントモ・ファーム(Entomo Farms)」では、粉末などで昆虫由来のタンパク質を生産し、販売している。粉末は高タンパク質で低糖質の栄養補助食品に使われている。

カナダ・オンタリオ拠点の同社は、過去3年間に投資家から220万ドル(約2億2000万円)を調達し、農場面積を5500平方メートルに拡張した。共同設立者、ジャロッド・ゴールドイン氏は、「ビジネスは活況を呈している。需要は世界的に拡大しており、米国は最大の顧客」と述べた。

ペプシ、ケロッグ、カーギル、ディズニーなどの多国籍企業は、研究開発のためにコオロギ粉末を購入している。ペプシのCEO、インドラ・ヌーイ氏は、2016年10月にニューヨーク証券取引所で開かれた講演会で、「この虫(コオロギ)は将来のスナック食品になる」と語っている。

(文・ 英文大紀元Emel Akan/翻訳・佐渡道世)

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