福建省晋江にある中国の縫製工場。2017年7月撮影。 (STR/AFP/Getty Images)

「中国製」の服は実は「北朝鮮製」?「ほとんどの発注企業が気づいていない」 

ロイター通信は、中国アパレルメーカーは、人件費が大幅に安い北朝鮮の工場に衣服を縫製させ、「中国製」と偽って世界各地に輸出している、と報じた。

北朝鮮に最も近い中国遼寧省丹東市にアパレル卸問屋は数十社あり、アメリカ、ヨーロッパ、日本、韓国、カナダ、ロシアの企業に製品を卸している。

同市のアパレル企業の社長(朝鮮族)はロイターの取材に対し、「世界各国から受注している。(中略)相手の外国企業の大半は、商品が北朝鮮製造であることに気づいていない」と話した。

国連の対北朝鮮経済制裁は織物の輸出を禁止していない。中国企業が北朝鮮に生地やその他の原材料を提供し、北朝鮮で完成した衣服を中国に輸出する。「ごく一般的なやり方」「約75%の製造コストを節約できる」などと業界関係者らがロイターに話した。

中朝国境からおよそ300キロ離れた大連市のアパレル業者は「北朝鮮の織物会社は先々まで生産スケジュールが埋まっているため、注文が断られた」と話した。

北朝鮮貿易投資促進局のデータによると、2016年、織物のうち衣類の輸出額は7.62億ドルに達し、石炭と金属に次ぐ同国第二の輸出品目である。国連が経済制裁を強化しているにもかかわらず、2016年の同国の輸出総額が前年比4.6%増の28.2億ドルに達した。今月初旬に採択された最新の国連制裁決議は、北朝鮮の石炭輸出を全面的に禁止した。

中朝両国間の貿易統計から、中国が依然として北朝鮮の経済を支えていることがわかる。中国税関当局(海関総署)の発表によると、今年上半期、中国の対北朝鮮輸出が前年比30%増の16.7億ドル、主な輸出品目は国連制裁の対象ではない織物の原材料や、労働集約型商品などである。

オーストラリアの世界大手サーフブランド「リップカール (RIP CURL)」が昨年、自社ブランドの中国製スキーウェアの一部が北朝鮮製造であることが判明したと公表し、「受注先一社の不正行為が原因」として公で陳謝した。

オランダのコンサルティング会社GPIによると、北朝鮮国内では全国展開の大手織物会社は15社、中堅織物業者は数十社が稼働している。製造業労働者の最低賃金(月額)は75ドル、平均月収は170ドル(中国は約3~4倍)だという。

(翻訳編集・叶清)

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