中朝国境近くに立つ万里の長城(JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images)
ユネスコ遺産

万里の長城9割が崩落 深刻な人的破壊

ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている中国の「万里の長城」は、一部の観光エリアを除いて9割近くがほぼ崩落し、消滅の危機に瀕している。整備が行き届いておらず、工場建設による無断取り壊しなど、人的被害もみられる。「文化財保護意識の低さが、長城消滅危機の主因」と専門家は指摘する。

現在、北京近郊の「八達嶺長城」など、観光名所であるエリアは整備されているものの、ほかは明の時代に完成して以降、ほとんど修繕されることもなく、「野長城」とよばれている。そのうえ、人為的な破壊が至る所で起きて、近年中国メディアが現状を伝えている。

ダム工事により地盤沈下になったり、鉄道や道路などの建設で寸断されたり、長城のレンガが沿線の住民に建築資材に転用されたり、骨董品として売られたりしている。城壁に穴をあけてトイレや家畜小屋などにする農民もいるという。

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 中国当局は、ユネスコ世界遺産に登録されている「万里の長城」の真下に、大型の高速鉄道の駅を作る計画を発表した。駅の建設で、ダイナマイトによる同遺産への影響が懸念される。長城では、ずさんな修復作業により現地当局者の処分が伝えられたばかり。文化財保護の意識の低さが露呈している。