9月18日、ロシア軍がベラルーシと大規模な軍事訓練(Brendan Hoffman/Getty Images)
緊迫の朝鮮半島

ロシア、北朝鮮と中国の国境に兵を派遣

北朝鮮と中国の国境地帯にまたがるロシアのカザン地方の丘で、ライフルと大型犬を連れて警備するロシア兵の姿が、タス通信により撮影されている。ウラジーミル・プーチン大統領は、軍の動きについて詳細を発表していない。英デイリーメールは9月28日、朝鮮半島の有事に発展することを視野にいれて、ロシア当局は、北朝鮮からの難民流入の防止に備えていると報じた。

ロシアは中国と同様、脱北者の送還に協力している。ロシアと北朝鮮は2016年2月に「不法入国者と不法滞在者収容と送還に関する協定」を結んでいる。送還された北朝鮮人は、収容され拷問を受けていると報じられている。

中国による脱北者送還が急増 取り締まり強化か

プーチン政権は、朝鮮半島情勢では対話重視の姿勢を示している。北朝鮮外務省の高官が27日、モスクワ入りした。 一部報道では、米国との交渉の仲介役になるよう、ロシア当局者に持ち掛ける狙いがあるという。

プーチン大統領は中国アモイで開かれた新興5か国 (BRICs)サミットで、外交的に解決できなければ地球規模の「大惨事」となると述べた。

ロシア紙『ロシアの国際外交』編集者フョードル・ルキアノフ氏は、ロシアは北朝鮮の行動を理解していると語る。英ファイナンシャル・タイムズ9月20日の寄稿文章で、同氏は「クレムリンは北朝鮮の心理を知っている」「金正恩氏は、イラクのサダム・フセイン氏やリビアのカダフィ氏のたどった運命を見ている。防御手段として核とミサイルを手放さないだろう」と指摘した。

これは、ロシア当局の考えを反映している。プーチン大統領も9月初旬にウラジオストクで開かれた経済フォーラムで「北朝鮮にとって、核開発中止は墓場への招待状を意味する」と述べ、金正恩氏が核兵器を決して手放さないとの見方を示した。

ロイター通信28日の報道によると、韓国の国家安全保障当局は、北朝鮮が10月10日~18日に、ミサイル発射や核実験などの挑発行為を行う可能性があるとした。同期間には、朝鮮労働党の創立記念日や、中国共産党の全国代表大会(19大)開催が含まれる。

北朝鮮には、米国をはじめ国際社会から厳しい視線が注がれる。米ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は26日、CNBCの取材に応じ「難しい政治情勢であるにもかかわらず、北朝鮮の姿勢に(態度軟化のような)変化が見られない」と述べた。

ダンフォード議長はまた、米国市民と日本、韓国、そのほかの米同盟国の安全を保証すると明言し、米軍が「挑発行為や紛争には対応する」と述べた。

安倍晋三総理大臣の国連総会での約17分の演説内容は、北朝鮮の核ミサイルの脅威について終始したものだった。弾道ミサイルや核実験の実験を繰り返すことを許したのは「対話の不足ではない」と主張し、「北朝鮮による挑発を止めるには国際社会の連帯が必要」と各国首脳に訴えた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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