米政府が3月下旬、中国による知的財産権侵害の実態を調べる通商調査を公開した。その際、中国軍サイバー・スパイ当局元トップを言及した。(Getty Images)

中国軍、米企業をハッキング サイバー軍トップに言及=米通商調査

米政府は3月下旬に発表された中国の不正貿易慣行に関する最新報告書で、サイバー・スパイ活動を指揮したとして、人民解放軍総参謀部技術偵察部(総参謀部第3部、3PLA)部長だった劉暁北・少将に言及した。米政府が中国軍の高官を名指したのは初めて。

同報告書は米通商法301条に基づいて行われた調査の結果をまとめたもの。調査では、知的財産権の侵害のほか、米企業が中国進出の条件として技術移転を迫られる状況などが対象となった。

米政府は、劉氏が3PLAのトップとして、米企業を対象にサイバー・スパイを指示したとした。同調査報告によると、中国国営石油・天然ガス大手の中国海洋石油集団(CNOOC)が3PLAに対して、シェールガス技術を有する米の石油天然ガス企業の情報を収集するよう要請していた。中国軍のサイバー攻撃によって、米企業の交渉計画書が盗まれ、商談ではCNOOCが有利となった。

ほかにもCNOOCの要請を受けた3PLAは、企業の資産管理、経営陣の人事異動、シェールガス技術などの重要情報を取得するため、米石油天然ガス企業5社に対してハッキングを行ったという。

報告書は、中国当局は軍のスパイ活動を利用して、国営企業の国際競争力の向上に有利な商業情報を集めていると指摘した。

中国当局は2015年末に、電子戦やサイバー戦などを管轄する中国軍「戦略支援部隊」を創設した。翌年1月に、3PLAなどの軍部署に対して統合・再編を行い、「戦略支援部隊」下部組織の「網絡系統部(Cyber Corps)」を新たに設立した。このサイバー部隊には、心理戦や情報戦などを展開する「311基地」も含まれている。

ワシントンタイムズによると、「網絡系統部」は北京市海淀区にあり、そこに約10万人のサイバーハッカー、語学専門家とアナリストがいる。また上海、青島、三亜(海南省)、成都と広州に支部がある。

同報道では、米政府は今後、劉暁北少将に対して制裁措置を講じる可能性が高いとの見方を示した。

米司法当局は4年前、上海に本部を置く中国軍61398部隊に所属する4人のハッカーをスパイ容疑で起訴した。61398部隊は、3PLAの下部組織である「総参謀部技術偵察部第2局」だ。

ワシントンタイムズは、劉暁北氏の現職は不明だとした。

(翻訳編集・張哲)

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