米上院が国防権限法案可決、ZTE巡り米政権と対立する可能性

[ワシントン 18日 ロイター] – 米連邦議会上院は18日、2019会計年度の国防権限法(NDAA)案を賛成85、反対10で可決した。総額7160億ドル規模で、トランプ大統領が求める軍の強化を後押しする。ただ中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)の扱いを巡り、ホワイトハウスの考えとは異なる内容も含まれている。

上院のNDAA案は兵器購入など基本的な国防支出として6390億ドル、現在起きている紛争への対応費用として690億ドルを充当することを承認した。一方でトランプ政権が受け入れたZTEの米サプライヤーとの取引再開を無効とする項目が盛り込まれた。

NDAAが正式な法律となるには、既に下院で通過した案と内容を擦り合わせて一本化し、トランプ大統領が署名する必要がある。

ZTEに関する項目の策定を主導した共和党のトム・コットン、マルコ・ルビオ両上院議員と民主党のチャック・シューマー上院院内総務、クリス・バン・ホーレン上院議員は共同声明で、上院での支持に「励まされた」と表明したうえで、下院議員らに対し、一本化に向けた協議で同項目を維持するよう訴えた。

ZTEは、米国の対イラン・北朝鮮禁輸措置に絡む2017年の和解合意に違反したとして米サプライヤーとの取引を禁じられた。共和、民主両党は合意違反を受けて、ZTEは国家安全保障に対する脅威になっているとの懸念を示してきた。

ただ、上院案に反対している政権の意向を踏まえると、ZTEへの対応については、下院案に入っているより緩やかな規制が最終法案に採用される公算が大きい。下院案は、ZTEと別の中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の製品を使っている企業と国防総省の取引を禁止すると定めている。

また上院案には、外国資本による対米投資を安全保障面から審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化することや、最新鋭ステルス戦闘機F35のトルコ向け売却を、ロシアから防衛機器を購入している同国が北大西洋条約機構(NATO)の脅威でないと確認できるまで禁じる項目がある。

このほか、イエメン内戦に介入するサウジアラビア主導の連合軍機に対する給油活動について、一定の条件を満たさない限り禁止する項目が盛り込まれた。サウジがイエメン内戦を終結させ、人道上の問題を解決、市民へのリスクを抑えるために緊急措置を講じているとポンペオ国務長官が認定することが条件となる。

バージニア級原子力潜水艦に必要な資材調達への予算手当ても法案に含まれた。防衛関連のゼネラル・ダイナミクス<GD.N>とハンティントン・インガルス・インダストリーズ<HII.N>が恩恵を受ける可能性がある。

*見出しを修正しました。

関連記事
  イギリス政府は、中国共産党のスパイ活動に対する懸念から、2025年4月までに国内の重要施設からす […]
極真会館の長谷川道場出身、纐纈卓真氏にインタビューした。その強さの秘密を聞いてみた。また、インタビューの間に空手についての情報を挿入してゆく。
元米国務長官マイク・ポンペオの中国政策上級顧問、シンクタンク、ハドソン研究所の中国分析センター所長である余茂春氏は、「中国共産党の最大の弱点は人権」とし、「米国が中国との関係で優位に立つためには、この点を狙わなければならない」と明らかにした。「人権問題は中国と米国の関係、さらに中国と他のすべての国の関係に大きな影響を与えるだろう」と強調した。
4月24日、米宇宙コマンド司令官スティーブン・ホワイティング大将が日本を訪れ、中国の宇宙軍事力の異常な増強に対して警告を発した。ホワイティング司令官は木原防衛相、統合幕僚監部議長、航空自衛隊長や航空宇宙事業本部長等の要人と対話し、宇宙領域における日米同盟のさらなる強化に向けた協力を確認した。
鬼木誠防衛副大臣は29日、フィリピンを訪問し、同国のテオドロ国防相と会談した。日本がフィリピンに供与する移動式警戒管制レーダー2基目の引き渡し式典にも出席した。東アジア地域における中国共産党の拡張に対して連携して抑止を図る。