陸上イージス、概算要求に取得費計上へ 近くレーダー選定=関係者

[東京 29日 ロイター] – 防衛省は、今夏の来年度予算の概算要求に米国から導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の取得費を計上する方向で調整に入った。早期配備の必要性を問う声が出る中、複数の関係者によると、来週にもレーダーの種類を決定し、計画通り2023年度の運用開始を目指す。米国製武器の取得手続きを進めることで、対日貿易赤字の解消を迫るトランプ米大統領へのアピールにもなる。

イージス・アショアは目となるレーダー、頭脳となる戦闘システム、機材を収納する建物で主に構成。探知性能を左右するレーダーには複数の選択肢があり、防衛省は米海軍がイージス艦への採用を決めた米防衛大手レイセオン<RTN.N>の「スパイ6」と、米ミサイル防衛局がアラスカ州に配備するレーダーをもとにしたロッキード・マーチン<LMT.N>の「SSR」を候補に選定を進めてきた。

日本政府は昨年末にイージス・アショアを2基導入することを閣議決定しており、今年度は配備に向けた調査費や設計費を防衛予算に計上。来年度は米政府と装備自体の取得契約を結びたい考えで、来週にも搭載するレーダーを決定したうえで、概算要求に盛り込む。

小野寺五典防衛相が配備候補地の秋田県と山口県に出向いた際、会談した知事から配備を急ぐ理由を問われるなど、6月12日の米朝首脳会談を機に朝鮮半島をめぐる切迫した事態は和らいだ。

それでも政府は「北朝鮮の脅威は何ら変わっていない」(小野寺五典防衛相)と、当初の計画通り23年度の運用開始を目指す姿勢を変えていない。

高額なイージス・アショアの取得は、米国が抱える7兆円以上の対日貿易赤字の軽減にもつながる。トランプ大統領は安倍晋三首相との会談で、たびたび対日貿易赤字の是正を求め、米国製武器の購入を迫ってきた。日米首脳は米議会中間選挙前の9月にも再び顔を合わせる見通しで、日本の政府関係者は「大統領への良いプレゼントになるだろう」と話す。

防衛省はイージス・アショアの取得費を2基2000億円と見積もっているが、搭載する迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の価格が上昇していることなどを踏まえ、関係者の多くは最終的に2倍以上に膨らむ可能性を指摘している。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)

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