イランと取引なら米国との取引も禁止へ、米政権が制裁復活

[ベイルート/ロンドン 7日 ロイター] – トランプ米大統領は7日、イラン核合意離脱に伴い米国が一部復活させた対イラン制裁について、「これまでで最も痛みを伴う制裁」になると述べ、イランと取引を行なう企業については米国との取引も禁止する構えを示した。

トランプ大統領は「11月には制裁をもう一段階引き上げる。イランと取引する者は、米国と取引『しない』ようになる。私が求めているのは他ならぬ世界の平和だ!」とツイッターに投稿した。

イランのザリフ外相はトランプ大統領の投稿について「この主戦論者が『世界平和』のために戦争を仕掛けていると主張するのはこれが初めてではない」とし、「米国の一国主義」を非難した。

米政府が7日に復活させた制裁措置はイランによる米ドルの購入、金属取引、石炭、工業用ソフトウエアや自動車部門などを標的としたもの。

イランの原油輸出を標的とした制裁導入まであと4カ月あるにもかかわらず、制裁措置の一部復活を受けたこの日の原油価格は上昇し、1823GMT(日本時間8日午前3時23分)時点で北海ブレント先物<LCOc1>は1.36%高の1バレル=74.75ドルを付けた。

コメルツ銀行の商品(コモディティー)担当首席アナリスト、Bjarne Schieldrop氏は、「11月に原油を標的とする制裁が発動される際に何が起こるのかが確認された」としている。

イランのロウハニ大統領は、米国が制裁措置を復活させる数時間前に国営放送で生中継された演説で、トランプ大統領が提案した対話を拒否する姿勢を表明。「ナイフで刺した上で対話を提案したが、まず刺したナイフを引き抜く必要がある」とし、「われわれは常に外交と協議を重んじているが、協議には誠実さが必要だ」と述べた。

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は6日、イランが制裁を回避するためには、より厳しい核合意に関する交渉を持ちかけているトランプ大統領の提案を受け入れるしかないと述べていた。

同補佐官は7日、欧州企業がイランとの取引を停止していることに言及し、制裁の一部復活は既に奏功しているとの認識を示した。「欧州政府は依然として核合意に固執しているが、欧州企業は早急に撤退しており、欧州政府の対応にかかわらず米制裁は効果を生んでいる」と述べた。

欧州諸国はイランの核合意順守を促すため、米制裁の影響軽減に努める意向を示し、欧州企業に同国から撤退しないよう求めた。しかし、企業側は米国事業をリスクにさらすことはできないとしており、石油大手トタル<TOTF.PA>や自動車大手のPSA<PEUP.PA>、ルノー<RENA.PA>などはイランへの投資計画を中止している。独ダイムラー<DAIGn.DE>は7日、「制裁に従い、既に制限されているイランでの活動を停止した」と発表した。

*内容と写真を追加しました。

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