米中両国の通商協議は22日と23日、米ワシントンで再開する。ロイターによると、トランプ米大統領は20日、今回の交渉に関して「多くは期待していない」と言った(Thomas Peter-Pool/Getty Images)

米中通商交渉再開 専門家「中国側の時間稼ぎ」

貿易摩擦をめぐって、米中両国の次官級協議は22日と23日、米ワシントンで再開される。米メディアは、今回の協議は、11月末に行われる米中首脳会談の下準備と報じている。専門家は、今回の協議は来月に実施される2000億ドル相当の中国製品への追加関税に焦点を当てて交渉するとの見方を示した。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が20日、米中双方が貿易戦で両国関係のさらなる悪化と世界経済への悪影響を危惧していると報じた。貿易戦の泥沼化を避ける関係改善のため、11月末に予定された20カ国・地域(G20)首脳会合に出席した後、両首脳が会談を行うとした。

中国経済専門家の秦鵬氏は大紀元の取材に対して、「今回の協議は次官級レベルにとどまっているため、貿易摩擦の激化回避と関係改善にはつながりにくい」と述べた。

秦氏は「2000億ドル相当の中国製品への追加関税措置が焦点となる」との見方を示した。

米政府が7月に中国の商品に追加関税措置を発動して以来、中国の株式・為替市場に大きな打撃を与えた。外資企業の中国市場からの撤退も加速している。新たに2000億ドル相当の中国製品への制裁措置を発動した場合、中国経済が一段と厳しい状況に直面する。

トランプ政権は、9月6日の意見公募期間終了後に、2000億ドル相当の中国輸入品を対象に10%の追加関税を課する予定。

一方、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者、兪偉雄氏は、今回の協議と11月末の米中首脳会談は、「同月上旬の米国中間選挙を狙った中国側の時間稼ぎの計略だ」との見方を示した。

中間選挙で米民主党が下院と上院それぞれの議院で過半数を占めれば、対中貿易政策を含むトランプ政権の各政策実施にストップをかけることができる。「中国当局はこれを狙っている」

2000億ドル相当の中国製品追加関税措置の実施を11月以降に先延ばしするため、22日と23日の協議で中国代表団が米側に大きな譲歩する可能性が高いと、兪氏は推測する。

「ただ、中国当局の狙いは失敗に終わるだろう。現在、共和党も民主党も、中国による米企業の知的財産権侵害に関して共通認識を持っている。中間選挙の結果と関係なく、トランプ政権は、貿易問題で引き続き中国に対して強硬な措置を実施していく」

一方、秦鵬氏は、米中貿易摩擦の本質は中国共産党政権が抱える構造的な問題であると分析する。「中国側が構造的問題があると認めれば、抜本的改革を迫られる。しかしこの改革は、共産党政権の根底を覆す可能性が高いため、中国当局はどうしても避けたい」。中国当局が今できることは時間稼ぎしかないという。

トランプ大統領は20日、ロイターの取材に対して、22日と23日の中国との通商協議で「多くは期待していない」と述べた。

(翻訳編集・張哲)

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