トルコ通貨危機、テネシー州退職基金にまで影響が波及

[ニューヨーク 27日 ロイター] – トルコ通貨危機が幅広い新興国投資家を揺さぶっており、米テネシー州の公務員退職年金基金にまで影響が波及している。

トムソン・ロイターが6月30日時点の情報開示資料に基づいて集計したデータによると、テネシー州の公務員退職年金基金を運用するTCRSはiシェアーズMSCIトルコ上場投資信託(ETF)<TUR.O>の受益権を88万口余り保有しており、資産価値は24日時点で約1900万ドルと機関投資家として同ETF最大の株主だ。

トルコのエルドアン大統領の金融政策に対する介入や、米国との外交関係悪化を巡る懸念を背景に、同ETFは基準価格が年初来で約半分に低下。年初来でトルコリラの対ドル相場は37%余り下落し、トルコ株式市場のBIST100種指数<.XU100>は約22%下がった。

トムソン・ロイターのデータによると、昨年このETFは配当込みで38%近くという高いリターンを確保しており、1年で成績が暗転した形。TCRSのマイケル・ブレイクビル最高投資責任者は24日、ロイターのインタビューでトルコについて「苛立たしい情勢であり、あの国で起きていることは実にひどい」と述べた。

それでもトルコ向け投資はTCRSが運用する総額497億ドルの資産のほんの一部にすぎず、TCRSは年間リターン8.19%を記録している。iシェアーズMSCIトルコETFに投資を始めたのは2012年だった。

TCRSは腐敗や民主化の面で好ましくないと位置付けられる国を除外できるよう、単一国家に投資するETFで構成されるポートフォリオをパッシブ運用する戦略を採用している。

このポートフォリオでは、各国のETFを全体のベンチマークと比べた市場規模で比重を設定。トルコについてはアクティブ運用は手掛けていないという。

ブレイクビル氏は、トルコ投資について、目下の事態は戦略再考につながるものではないとした上で「これは新興国市場に付随するリスクを乗り切っていく動きの一部だ」と語った。

同氏は電子メールで、これまでのトルコへの投資は「失望する」結果となったが、人口が急増している同国は「新興国投資ならではのリスクと同時に潜在力」も具現化する存在だと付け加えた。

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