金融機関の収益性不動産向け融資、実態調査へ=金融庁方針

[東京 26日 ロイター] – 金融庁は26日、今事務年度(7月―2019年6月)の行政方針を発表し、金融機関の収益用不動産向け融資の実態調査や大手銀行グループの合理化策の検証などを盛り込んだ。

<収益性不動産向け融資、実態調査へ>

スルガ銀行<8358.T>の不適切融資問題を受け、金融庁は金融機関の収益性不動産向け融資の実態把握に乗り出す。融資の実行に当たり、顧客の返済能力を十分考慮しているか、融資実行後の管理を適正に行っているか、抱き合わせ販売の防止策が打ち出されているかなどについてアンケート調査や立ち入り検査を行う。

顧客本位の業務運営とはかけ離れた不適切行為が地方銀行で相次いで発覚したことを踏まえ、金融庁は情報収集を広範に行い、リスク分析を通じて機動的な対応を行う方針も示した。

金融庁によると、地方銀行の過半数に当たる54行が本業の貸出・手数料ビジネスで赤字、うち52行が2期連続以上の赤字に陥っている。同庁は、ビジネスモデルの持続可能性などで深刻な問題を抱えた地域金融機関に対し、課題解決に向けて早急な対応を促すとしている。

<大手銀の合理化策を検証>

低金利の長期化やフィンテック(金融とITの融合)の進展などによる国内金融環境の変化を受け、三菱UFJ銀行など3メガバンクは人員や店舗の削減計画を打ち出した。同庁は、各社の合理化策が収益性を保つ観点から妥当か、検査・監督を通じて検証する。

メガバンクが収益源として力を入れている海外部門については、業務や資産が拡大してもグループベースの経営管理が機能しているかを把握するほか、法令順守体制やリスク管理体制も注視していく。

<ゆうちょ限度額は「適切に対応」>

ゆうちょ銀行の預入限度額の緩和を巡り、郵政民営化委員会と金融庁の間で意見対立が続いている。

金融庁は行政方針に、ゆうちょ銀行<7182.T>やかんぽ生命<7181.T>の経営方針実現に向けて、日本郵政<6178.T>のガバナンスが機能しているか監視していくことを盛り込んだ。その上で、預入限度額の議論については、地域の金融システムへの影響や郵政が保有するゆうちょ銀株の売却状況などを踏まえ、「適切に対応する」と記すにとどめた。

(和田崇彦)

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