今年4月に行われた南北首脳会談の宣伝ポスター(Chung Sung-Jun/Getty Images)

中国が朝鮮半島にとって最大の脅威=ソウル大が世論調査

韓国のソウル国立大学が実施した最近の世論調査によると、中国共産党政府が、南北朝鮮の平和にとって最大の脅威だと認識していることが明らかになった。

この世論調査は10月2日、同大の平和統一研究所(IPUS)が行ったもので、「南北の平和にとって脅威と見なす国」は中国と答えた人が46%と最多。33%は北朝鮮で、昨年の64%からほぼ半減した。

また、2007年から毎年実施されている同調査では、韓国の近隣諸国に関する認識調査が行われている。平和の脅威に関して、中国が北朝鮮を超えたのは今回が初めて。

IPUSのチェ・ギュビン上級研究員は、「2016年、韓国政府が在韓米軍の高高度防衛ミサイルシステム(THAAD、サード)の設置を決定した後、中国は継続的な経済の報復を行っている。これは、韓国人の中国に対する印象を悪化させた」と対中印象の変化を分析した。

中国共産党政府は、サードによる中国のミサイルへの監視を恐れ、韓国の政府と企業に対して報復とボイコット運動を扇動した。

瀋陽に建設中の韓国大手ロッテのテーマパークの建設は中断された。また、韓国旅行の停止、韓国製品のボイコット、韓流アイドルの締め出しなどが行われた。

米朝首脳会談が史上初めて行われ、南北首脳会談も3度重ねた今年、北朝鮮外交は転換期を迎えている。こうした中で、韓国人の中国に対する敵対意識が深まっている。

このたびの調査によると、南北はいまだに平和条約を締結していないため戦争状態ではあるが、韓国世論では、北朝鮮に対するよりポジティブな考え方が15%増加した。しかし、韓国の4分の3以上が、依然として核兵器をもつ北朝鮮は脅威だと認識している。朝鮮戦争休戦協定は1953年に結ばれた。

北朝鮮の核兵器問題が初めて浮上したのは1990年代はじめ。中国政府は六カ国協議の議長国を務めているが、問題は解決されなかった。北朝鮮は2006年10月に初の核実験を行った。

(編集・佐渡道世)

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