スリランカ大統領、首相解任し前大統領を後任に 政局混迷

[コロンボ 28日 ロイター] – スリランカのシリセナ大統領は26日、ウィクラマシンハ首相を解任し、ラジャパクサ前大統領を後任に据えた。シリセナ大統領は経済面での失策などを解任の理由としたが、ウィクラマシンハ氏は解任を違法とし、自身が引き続き首相だと主張するなど、混乱が深まっている。

シリセナ大統領は27日、11月16日まで議会を停止した。ウィクラマシンハ氏の支持者はこれについて、議員が同氏への支持を表明できないようにするための措置だと批判した。

2005─15年に大統領を務めたラジャパクサ氏は28日に発表した声明で、司法の独立を守り、法と秩序を確立する暫定政権を立ち上げると表明。議会に政権への支持を求めた。

スリランカはラジャパクサ前大統領の下で中国から多額の融資を受けて大規模インフラプロジェクトを進めた。中国に対する債務が膨らんだ結果、戦略港湾の運営権を中国に譲渡する状況に陥っている。

隣国インドや欧州連合(EU)、米国はシリセナ大統領に憲法を順守するよう促しているが、中国はラジャパクサ氏に首相就任の祝意を伝え、ウィクラマシンハ氏の支持者からは、中国が政権交代を画策したとの声が上がった。中国の当局者は内政干渉を否定した。

ラジャパクサ氏の首相就任後、同氏とつながりのある労働組合はウィクラマシンハ政権の閣僚が事務所に入るのを阻止するため政府の建物を封鎖しており、28日には石油資源開発相だったアルジュナ・ラナトゥンガ氏が事務所に入ろうとした際、同氏のボディーガードが発砲し、1人が死亡、2人が負傷した。

米国務省は28日、関係各方面に暴力を控えるよう促すと同時に、シリセナ大統領に議会を直ちに再開し、「民主的に選ばれた国民の代表が政権指導者を支持する責務を果たせるように」すべきだと訴えた。

これまでのところ、議員の多くはラジャパクサ氏への支持を表明しておらず、ジャヤスリヤ国会議長は28日、シリセナ大統領に宛てた書簡で、「議会の信任を得た他の人物が議会内で浮上するまで」ウィクラマシンハ氏の権利を守るよう求めた。

シリセナ大統領は国民に向けた演説で、政権交代の措置は「完全に合憲であり、法律の専門家の助言に沿ったものだ」と説明した。

ラジャパクサ氏の支持者は議員の支持集めに動いており、ウィクラマシンハ氏支持派の2人がラジャパクサ氏への支持を表明した。ラジャパクサ氏に近い関係筋は、さらに多くの議員が同氏支持に乗り換えるとの見方を示した。

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