米、ロシア製ミサイル導入巡るトルコ制裁は「実現性高い」

[イスタンブール/ブリュッセル 20日 ロイター] – 米政府高官は20日、ロシア製ミサイル防衛システム「S400」導入を計画するトルコに制裁を科すことは引き続き「非常に実現性が高い」選択肢だと述べた。トルコのエルドアン大統領は同日、米国が制裁を発動した場合は報復すると表明した。

クラーク・クーパー米国務次官補(政治軍事担当)は米国とその他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は問題解決に向けてトルコと協議を続けていると説明。

NATO本部があるブリュッセルを訪問中のクーパー氏は電話会見で「解決を模索することは可能性として残っているが、制裁発動がなお想定される行動であり、現時点で実現可能性が高い」と述べた。

エルドアン大統領はイスタンブールで開いた外国メディア向けの記者会見で、S400購入契約は既に完了しているとした上で、「米制裁が現実になるとは思っていない」と述べた。ただ、発動した場合は「トルコも独自制裁を実施する」と警告した。

エルドアン氏は、S400納入は7月前半に始まると明言した。

同氏はまた、トランプ米大統領との関係は「非常に良い。何らかの問題があればすぐに電話で協議する」と語った。今月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて開催されるトランプ氏との会談でこの問題を取り上げる考えも示した。

また、トランプ氏以外の米当局者との意見対立が問題の根本にあるとの認識も示した。

米国のクーパー氏は、この問題について米当局者間、あるいは他のNATO加盟国との間で意見の不一致はないと強調した。

米政府はトルコがS400購入計画を変更しない限り、米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」関連計画からトルコを除外する方針を示している。

クーパー氏は、米国を含むNATO加盟国はS400に代わるミサイル防衛システムをトルコに繰り返し提案してきたと説明した。

エルドアン大統領は、必要ならば国際裁判所に提訴し、F35関連支出の返還を求める意向を示した。

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