(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

【中国の古代物語】忘れられた宝

むかしむかし、中国のあるところに、貧しい男がおりました。ある日のこと、男は裕福な親戚の家を訪ねました。やさしくて気前のよい親戚は、男をとても歓迎しました。男は大いに飲み、お腹いっぱい食べると、ウトウトと眠りに落ちてしまいました。

折しも、裕福な親戚は、仕事のトラブルを処理するため、すぐにも家を出なければならなくなりました。裕福な親戚は、男を起こそうとしましたが、男は目を覚ましません。そこで、裕福な親戚は、男の服に真珠を縫いつけてから家を出ました。その真珠は、「知恵」と名付けられた、とても貴重なものでした。

貧しい男は、自分の身に何が起きたのか全く気づいていませんでした。そのため、男は目を覚ますと、再びホームレスのような生活をはじめました。あいかわらず貧乏で、毎日の食べ物にことかくありさまでした。男は、自分の服に縫い付けられた、高価な真珠のことに気づいていなかったのです。

しばらくして貧しい男は、街で裕福な親戚とばったり出会いました。男がボロボロの服を着ているのを見て、裕福な親戚は深いため息をつきました。「そんなバカな‥‥。あんたは苦労して、着る物や食べ物を探しているのかい? 少しはましな生活を送っていると思っていたのに。あんたがうちに来たとき、私はあんたの服に、とても高価な真珠を縫いつけておいたのさ。それに気付きさえすれば、裕福な生活を送れたのに‥‥。着る物と食べ物を探すのに夢中で、真珠の存在に気づかなかったなんて‥‥」

もう、お気づきですか?

この話は、私たちがこの世界に生まれてくる前に、神様から「知恵」という宝を授けられていることの暗示であることに。そして、私たちは貴重な真珠の存在を忘れ、差しせまった欲望にきゅうきゅうとし、人生の再出発を先伸ばしにしてしまっているということに。

※エポック・メディア・グループ/NTDTVから転載

関連記事
よもぎと小豆は、漢方と日常生活において重要な役割を果たしてきました。二つの組み合わせはその味に魅力があるだけでなく、そのユニークな性質を活かして体のバランスを整えてくれます。
この若草色の団子は、ただ目で楽しむだけでなく、桜の花々とともに季節の風情を一層引き立てます。
築200年の荒れ果てた家を購入し、5年かけて新しい命を吹き込んだ米国イリノイ州の夫婦は「それだけの価値があった […]
現代社会は、ストレスや様々な疾患に直面しており、多くの人々が健康への不安を抱えている状況にあります。しかし、私たちの身近な食材には、そんな不安を和らげる力を持つ意外なヒーローが存在します。それが「キャベツ」です。
SARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)のスパイクタンパク質が抗がん作用を妨げ、がんを促進する可能性があることが、最近発表されたブラウン大学による細胞研究のプレプリント(査読前原稿)で明らかになった。