アメリカの保守派で政治活動家のキャンディス・オーウェンズさん(2019年6月25日、ワシントン/Samira Bouaou/The Epoch Times)

「被害者意識から抜け出して」米黒人女性が左派の支持者に呼びかけ

移民問題や人種間の衝突を抱えるアメリカ。先日は、トランプ大統領が反米的なコメントを繰り返す民主党の移民系議員らに対して、この国が嫌ならば「出ていけばいい」とツイッターに書き込みをしたばかり。それに対して、多くのメディアは「人種差別だ」とトランプ大統領を批判している。

手厚い社会保障制度を掲げる左派の民主党は、保守派の共和党に比べて黒人や中南米系の支持者が多い。その中で、あえて「民主党とは決別しよう」と強く訴える異色の黒人女性がいる。

「私はこの国で生きる黒人女性として、白人男性ができることは何でもできます」と語るのは、キャンディス・オーウェンズ(Candace Owens)さん。アメリカの保守派で親トランプ、反民主党のコメンテーターである。彼女はRed Pill Black(レッド・ピル・ブラック)というサイトで自身のユーチューブを公開し、講演会やメディアを通じて民主党に厳しい批判を浴びせている。Red Pill(レッド・ピル)とは、映画「マトリックス」に出てくる、真実を見せてくれる赤い錠剤を指す。

彼女が民主党を批判する理由は、「彼らが人々に被害者意識を植えつけているから」。民主党は特に、黒人、女性、マイノリティー、LGBTに働きかけ、洗脳していると指摘する。なぜ民主党は被害者意識を強調するのだろうか?彼女は、「政策がうまくいかなければ、その方法で票を集めるしかないでしょう」と話す。

一般的に、左翼の世界観は被害者意識である。この意識を何世代にもわたって植えつけられた黒人は、なかなかそこから抜け出せない。彼女自身も、数年前まではリベラルで民主党派だった。

「ほとんどの黒人と同じく、私も学校で教わっていたから。皆、黒人は民主党でリベラルになるべきだって」。民主党の合言葉は「人種差別」である。

2019年4月26日、インディアナ州で開かれたNRA年次会議でスピーチする

キャンディス・オーウェンズさん (Photo by Scott Olson/Getty Images)

また、民主党のシングル・マザー保護政策が、黒人コミュニティーを破壊していると彼女は言う。50年前にジョンソン大統領が「貧困との戦い」を掲げてから、膨張する社会保障と共にシングル・マザーや離婚が飛躍的に増加した。結婚するよりもシングル・マザーでいた方が給付金が高いため、父親不在の黒人家庭が増えたことが一因といわれている。貧困ラインを下回る人のうち、公的扶助を受給していない人は受給している人よりも翌年に貧困から抜け出す確率が3倍高くなるという調査報告もある。手厚い保護は黒人の勤労意欲を奪い、家庭を崩壊させていると彼女は指摘する。

被害者意識に伴うのは怒りや恨みである。しかし、彼女にとって成功の秘訣とは勤勉に働き家族を大事にすることであって、怒りではない。これは、あらゆる人種に共通する価値観である。彼女は、アメリカに移住した日本人が、かつて過酷な差別を受けながらも他の移民に比べて比較的豊かだったことを挙げ、よい価値観に基づいた生活と自助努力が大切だと語っている。

オーウェンズさんは黒人コミュニティーに訴える。「(民主党が)あなたは被害者だと言うかもしれないけど、それは忘れてください。そんな言葉は、あなたの目標達成の何の助けにもならないのだから」

(文:Irene Ruo/翻訳編集:郭丹丹)

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