(パブリックドメイン)

『竹取物語』に秘められた謎(一)

『竹取物語』は、『源氏物語』の絵合の巻に於いて「物語の出で来はじめの祖」と評され、日本最古の物語とされています。伝承された説話をもとに10世紀中頃までに成立し、作者は未詳となっています。

物語は竹取の翁の紹介、かぐや姫の出生、5人の貴公子の求婚、帝の求婚、かぐや姫の昇天という内容からなっており、素朴で簡潔な文体で語られていますが、中には実に多くの謎、予言、秘密が秘められており、1000年経った今でも、それを読むと、作者の仏典と漢学の素養の深さ、社会に対する批判の鋭さに感心すると同時に、考えさせられることが多くあります。

ここでは、幾つかの要点を取り上げてみたいと思います。

▶ 続きを読む
関連記事
一枚の桑の葉が蚕の体内で絹糸へと変わり、礼制や衣冠文化を支え、五千年の中華文明を紡ぎ出していく。小さな生命の神秘と悠久の歴史の源流、そして万物に宿る秩序と思索を描いた文明論エッセイ
茶道に息づく「一期一会」の精神を、日常の何気ない所作や東洋思想の「仁」と結びつけて紐解くエッセイ。二度と戻らない「いま、目の前の瞬間」に全身全霊で向き合うことの尊さを静かに問いかけます
秋分を迎え、昼夜の長さや季節の巡りから天地の陰陽の調和を読み解く一文。四季の移り変わりを一幅の太極図に見立て、自然の摂理と人の生き方・養生の知恵を深く静かに問いかける
唐代の奇書『酉陽雑俎』を手がかりに、未知を排除せず包容する中国文明の精神と世界の広がりを描き出す。古人の謙虚な姿勢から学ぶ
唐代の奇談集に残る「月を修復する人」の物語。中秋の月に重ねて読みたい、神秘的な月の伝説を紹介します。