日米通商交渉、為替の話は出なかった=麻生財務相

[東京 27日 ロイター] – 麻生太郎財務相は27日の閣議後会見で、9月中の最終合意が確認された日米通商交渉の中で、為替問題の議論は出なかったとの見解を示した。昨年9月の日米共同声明で通商交渉の方針とされた米自動車産業の雇用・生産拡大は、最終的には民間企業の判断次第との見解を示した。

日米通商交渉は、前週末からワシントンで閣僚協議が行われ、続いてフランス・ビアリッツの主要7カ国首脳会議(サミット)の合間に行われた日米首脳会談でも、話し合いが行われた。麻生財務相は、その交渉の過程で「為替の話は出なかったと聞いている」と述べ、為替条項に関した議論はなかったと報告を受けているとした。

日米首脳は、9月の国連総会開会時期に米国で予定される次の首脳会談で、日米通商交渉に関する協定署名を目指す方針を確認した。麻生財務相は「意見の一致を見たのであって、合意したわけではない」と指摘。合意まで詰めるべき点が、まだ多いと述べた。もっとも「合意に向けて前進したのは良いことではないか」ともコメントした。

<過去の米国の対日赤字縮小は「企業努力の成果」>

共同声明では、1)農業分野で日本は環太平洋連携協定(TPP)以上譲歩しない、2)米国の自動車産業の生産・雇用増加につなげる──方針が示されている。米自動車生産・雇用増のために何が必要か、との質問に対し、麻生氏は、政府間交渉の話でなく、「自動車会社が基本的にどう(判断)するかとの話に最終的につながる」と指摘。かつて日系自動車メーカーは「年間400万台近く(米国に)輸出していたが、今は現地で300万台強生産しており、その方向に確実に動いてきたのが歴史、流れだ」と解説。「企業努力の成果で米国の対日貿易赤字が縮小し、米国の雇用が生まれている」と強調した。

26日にドル/円<JPY=EBS>が104円台をつけた最近の為替市場の動きについて、直接的なコメントを控えつつ「安定は極めて重要」と指摘した。

10月に予定されている消費増税では、リーマン・ショック級のショックが起きない限り、予定通り実施するとの従来方針を繰り返した。

 

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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