石油業界、需要低迷への懸念強まる 中国・インドの指標悪化で

[シンガポール 11日 ロイター] – 今週シンガポールとアブダビで開催された石油業界の会議では、中国やインドなどの需要の伸び悩みを指摘する声が相次いだ。来年にかけて原油価格が低迷するとの見方が強まっている。

特に中国とインドの自動車販売減少や中国製造業の活動縮小などが懸念されている。

北海ブレント原油先物<LCOc1>は、世界経済への懸念を背景に、4月以降約10ドル下落し、1バレル=63ドル前後で取引されている。

米エネルギー情報局(EIA)は10日、第4・四半期の北海ブレントの平均価格を60ドルと予想した。

今週シンガポールで開催されたアジア太平洋石油会議では、石油商社トラフィギュラ[TRAFGF.UL]の石油部門の共同責任者、ベン・ルコック氏が「今年は横ばいがいいところで、年末に向けて見通しは弱気だ」と発言。

アブダビで開催された世界エネルギー会議でも、弱気な見通しが目立った。

ロシアのノバク・エネルギー相は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの主要産油国で構成する「OPECプラス」が12日に開催する会合で鈍化する需要について話し合うと明らかにした。

同相によると、現時点では、現行の日量120万バレルの減産の下で生産枠を調整する提案は出ていないが、合意事項の履行状況を監視する新たな測定基準について協議する可能性があるという。

OPECは11日公表した月報で、来年の世界原油需要の伸び見通しを日量108万バレルとし、従来見通しから同6万バレル下方修正した。

中国の8月の生産者物価指数(PPI)は過去3年で最大の低下を記録。米中貿易戦争で製造業が打撃を受けていることが浮き彫りとなった。

オーストリアのエネルギー会社OMV<OMVV.VI>のレイナー・シール最高経営責任者(CEO)はロイターに「消費者市場を見ると、我々の業界は景気鈍化に備える必要がある。厳しい日々が待ち受けている」と述べた。

エネルギーコンサルティング会社ウッドマッケンジーは、今年の液体エネルギーの世界需要の伸びを日量70万バレルと予想。従来予想の85万─90万バレルから下方修正した。米中貿易戦争が景気に悪影響を及ぼしていることが理由という。

EIAも今年の世界需要の伸びを日量100万バレルから89万バレルに下方修正した。

石油・ガス調査会社JBCエナジーも、今年の世界の石油需要の伸びが日量100万バレルを下回るとの見通しを示した。

JBCアジアのマネジングディレクター、リチャード・ゴーリー氏は「市場には力強い成長エンジンがない。主要国は貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱など地政学的な不透明感に圧迫されている。新興国・途上国もこの問題や相対的な価格高への対応を迫られている」と指摘。

「当社はもちろん、フェデラルファンド(FF)金利、国債利回り、商品インデックス、購買担当者景気指数(PMI)などの指標を追っているが、すべての指標が当社の需要に対する懸念を裏付けている」と述べた。

ANZのエコノミストも、今年の石油需要の伸びの予測を日量120万バレルから100万バレルに下方修正。PMIの低迷や世界の自動車販売の落ち込みを理由に挙げた。

ただJBCとウッドマッケンジーは、来年の需要が緩やかに回復すると予想している。

ゴーリー氏は「来年は日量120万バレル前後に戻ると予想している。国際海事機関(IMO)の船舶燃料規制や、昨年と今年の需要の伸びが低かったことによるベース効果などが理由だ」と発言。

ウッドマッケンジーは来年の需要の伸びを日量130万バレルと予想している。

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