WTO、米国の対EU報復関税を承認 航空機補助金巡る対立で

[ロンドン/ブリュッセル/ジュネーブ 2日 ロイター] – 航空機への補助金を巡る米国と欧州連合(EU)との対立を巡り、世界貿易機関(WTO)は2日、欧州航空機大手エアバス<AIR.PA>に対するEUの補助金は違法として、米国が75億ドル相当の欧州製品に輸入関税をかけることを承認した。

欧米はエアバスと米ボーイング<BA.N>に対する補助金について互いに不当と主張し、相互に関税措置を準備している。ロイターは先週、関係筋の話として、航空機補助金を巡り、WTOが米国にEUへの報復関税を認めたと報じていた。

WTOの3人の仲裁人から成る小委員会は、エアバスの超大型旅客機「A380」などに対する欧州政府の補助金により、米国は年間75億ドル相当の損害を被ったと指摘。米国側に75億ドル相当の欧州製品に対する関税を認めたが、金融サービスへの関税賦課は除外された。

これを受け、欧州委員会は米国の貿易制裁について「近視眼的で非生産的」と主張。米当局者からのコメントは得られていない。

WTOは2004年から続く航空機補助金を巡る欧米の対立で、エアバスとボーイングに対する数十億ドル規模の違法な補助金があったことをすでに認めており、来年早々にも米国製品に対するEUの輸入関税規模を決定する予定。

米国の関係者2人によると、米通商代表部は関税対象候補である250億ドル相当の品目リストから速やかに絞り込みを行う見込み。同品目リストにはエアバスの航空機自体やヘリコプター、ワイン、蒸留酒、ハンドバック、チーズなどが含まれている。

関税賦課に先立ち、WTOの紛争解決機関は仲裁人の報告書を正式に採択する必要があり、手続きには10日間から4週間かかるとみられている。

紛争解決機関の次回会合は10月28日の予定だが、米政府は仲裁人の報告書が公表されてから10日後に特別会合を要求できる。早ければ公表から10日後の次営業日に当たる10月14日に最終承認される可能性がある。

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