中国、今週の対米通商交渉への期待値下げ 禁輸措置受け=政府高官

[北京/ワシントン 9日 ロイター] – 中国政府が今週の対米通商交渉で大きな進展を遂げることへの期待値を下げていると、中国政府高官や外交官、投資家がロイターに対し明らかにした。米政府が今週、中国の28団体・企業を事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加したことが背景。

中国政府は米国との貿易戦争に終止符を打つことを望んでいるものの、短期的に合意にこぎ着ける可能性について楽観視していないという。

米中は10─11日にワシントンで閣僚級協議を行う。

協議に向けた準備について説明を受けた中国当局者は、現状から判断すると今週の協議は膠着して終わる可能性があるとの見方を示した。合意に至る可能性については「容易ではない。双方で多くの準備作業とコンセンサスが必要だ」と述べた。

中国の当局者らは、閣僚級協議に向けて良好な雰囲気を作り出すことを目指して次官級協議が行われてきたが、米政府が今週、中国の28団体・企業を事実上の禁輸リストに追加したことでネガティブな雰囲気が生まれたとしている。

今週の協議について説明を受けた2人目の中国当局者は、米中ともに対立激化を回避すべきで、さもなければ溝は深まるとの見方を示した。

在米の中国外交官は、米国が中国共産党に対し、経済運営方法を西側の自由市場資本主義寄りに根本的に改めるよう求めるのは理不尽で、誤っていると指摘した。

「中国の過去数十年間の実績は、われわれの制度が中国の発展に好ましいことを示している」とし、中国が米国に対し、国有企業に依存する経済への移行などを求めないのと同様に、米国も中国にそうした要求をすべきではないと強調した。その上で「われわれは合意を望むが、相違を受け入れることも期待する」と語った。

米政府は今週の協議で中国側に、知的財産権の保護についても新たな要求をする見通しだが、この問題を巡っても両国の見解は大きく異なっている。

中国の当局者は知的財産権侵害を否定しており、西側企業は自ら情報を提供し、その恩恵を受けたと主張している。在米の中国当局者は「多くの決定は、企業間の協力関係に基づいて下されたものだ」とし、恩恵の大部分は西側企業が享受しているとの見方を示した。

*内容を追加しました。

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