米議会軍事委、国防権限法案で合意 中ロを念頭の措置など

[ワシントン 9日 ロイター] – 米上下両院の軍事委員会は9日、2020会計年度(19年10月─20年9月)の国防予算の大枠を定める国防権限法(NDAA)案について、数カ月に及んだ協議後、合意に達したことを明らかにした。合意案にはロシアや中国を念頭に置いた措置や、トランプ大統領が提唱する宇宙軍創設に向けた措置が盛り込まれた。

法案はまた、ロシア製ミサイル防衛システムの購入を巡るトルコへの制裁や、北朝鮮の核開発への厳しい対応も求めている。

年末の休会までに議会を通過する見通し。

法案の規模は総額7380億ドル。国防総省とエネルギー省の国家安全保障プログラム向けの6584億ドル、戦費に相当する「海外作戦経費(OCO)」の715億ドル、異常気象や自然災害など緊急時の復旧経費53億ドルが含まれる。

NDAA案は、トランプ氏の政策を巡り、民主党が主導する下院と共和党が多数派の上院で見解に大きな隔たりがあることから58年ぶりにまとまらないのではとの懸念が出ていた。

NDAA案は議会が毎年承認する数少ない重要法案で、広範な政策提案の手段として利用される傾向がある。

今回の法案には、ロシアの欧州向けガス・パイプライン事業「ノルドストリーム2」と、ロシアとトルコをつなぐパイプライン「トルクストリーム」に関連した制裁や、ロシアとの軍事協力を禁止する措置が盛り込まれた。

中国の海外投資やロシアとの軍事関係に関する報告の義務付けなど、中国からの脅威に対応する一連の措置も含まれている。

米軍兵士への給与の3.1%引き上げも盛り込まれた。引き上げ幅は10年ぶりの大きさとなる。また今回初めて、連邦政府職員向けの12週間の育児休暇も盛り込まれた。民主党が強く要求していた内容だ。

 

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