【紀元曙光】2020年1月10日
神韻日本公演を見てきたが、その感想や説明をここには書けない。どんな言葉を連ねても、あの輝くような舞台を見た心の昂ぶりを表現することはできないからだ。代わりに、筆者が客席で身近に感じた「気配」のようなものを、少し書きたい。
▼筆者の席から通路を挟んだ隣の席に、4人ほどの若い女性グループがいた。神韻を見るのは、いずれも初めてらしい。ただ、この日を楽しみにしてきたことが、開演前の彼女らの雰囲気で伺われる。
▼その先のことを簡潔に書くと、こうである。始めの演目で、幕が上がると、ステージから放たれた光のなかに、彼女たちから「うゎあ」という上ずった歓声が上がった。その声に思わず筆者が横目で見ると、目に入った女性は口を半開きにして硬直している。
▼最後の演目が終わり、ステージ上での団員あいさつも済んだ後である。場内が明るくなって、多くの観客が席を立ち始めた。ところが、通路を挟んで筆者に一番近いその女性は、首を折り、顔を真下に向けたまま、しばらく動かなかった。
▼どうしたのかと、こちらが少し心配になりかけたころ、その女性は顔を上げ、声にもならない小さな声で「すごい」とつぶやいた。声には涙がたまっていた。あとは彼女たちの雰囲気から察しただけだが、「今日が、特別な日になった」というような意味のことを、それぞれ口にしていたと思う。
▼通常の公演で、観客が驚いただけなら、「度肝を抜かれた」だの「席から立てなかった」だのと、安っぽい修辞で原稿を埋めることもできる。神韻は、もの書き泣かせで、そう簡単には書けないのだ。
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