【紀元曙光】2020年2月10日

武漢市中心医院の眼科医、李文亮さんが新型コロナウイルスによる肺炎で2月6日、死亡した。李さんは昨年12月30日の時点で新型ウイルス発生の可能性を知り、大学の同級生グループのチャット上に情報発信して警鐘を鳴らした。

▼武漢の公安当局は「デマを流した」として李さんを派出所へ出頭させ、訓戒書への署名を求めた。その後、李さんは医療現場で患者の対応に当たったが、1月10日から自身にも咳や発熱の症状が現れる。新型肺炎だった。

▼同12日から集中治療室に入る。まだ若く、比較的良質の医療を受けたはずだが回復はならなかった。発症から僅か4週間。善人がこれほど速く死ぬことに理不尽を感じざるを得ない。

▼李さんが署名させられた訓戒書をネット上で見ると、さらに腹立たしくなる。「お前がしたのは違法行為だ」と、あまりに一方的な決めつけがあり、その下に「違法行為を止められるか」「止めなければ法的制裁を加えるぞ。分かったか」の圧迫質問が二つ。李さんは「能」「明白」と最短の答えを書き、赤インクの拇印を押している。日付は1月3日。

▼この1ヵ月後に死去する若い医師を忘れないため、筆者は小欄に書いている。インターネット上や香港、台湾などの各地で、李さんの勇気ある行動を支持し、その死を追悼する動きが広がっている。「英雄」と称賛する声もあるが、それは少し違うかもしれない。

▼李文亮さんは、誠実な医療人として、当然のことをしただけである。多くの患者に喜ばれ、家庭では優しい夫であり父であったに違いない。これが本来の「普通の人」なのだ。   

 

▶ 続きを読む
関連記事
自分を許せない背景には、過去へのとらわれや強すぎる責任感が関係することがあります。責任を受け止めながら心を軽くする視点を紹介します。
突然の動悸や脈の乱れは、一時的なものだけでなく危険な不整脈の可能性もあります。受診の目安や発作時の対処法を医師が解説します。
春に悪化しやすい喘息、その原因は「炎症」にあった?最新研究が示す治療の変化と、発作を防ぐための生活の工夫をわかりやすく解説します。
鳥を見たり鳴き声に耳を澄ませたりすることは、不安や孤独感を和らげ、心を今に戻す助けになる可能性があります。気軽に始められる自然の癒やしです。
薬だけに頼らず、運動と生活習慣で進行にブレーキをかける——パーキンソン病と向き合う新しいアプローチをわかりやすく解説します。