2019年7月韓国・光州で開かれた水泳世界選手権の男子400メートル自由形の表彰式で、銀メダルを獲得した豪州のマック・ホートン選手(左)は、ドーピング疑惑の孫楊選手(中央)への抗議として、表彰台に登らず握手も拒否した(Maddie Meyer/Getty Images)

競泳選手孫陽氏のドーピングに「中国当局が関与」=米メディア

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は2月28日、ドーピング疑惑の中国競泳界のスター選手、孫楊(28)に対して8年間の資格停止処分を科した。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)3月4日付は、中国当局が孫選手のドーピングスキャンダルに関与し、一連の騒動を招いたとした。

2018年9月、孫楊の自宅に世界反ドーピング機構(WADA)の検査員が訪れ、ドーピングの抜き打ち検査を行った際、孫の関係者が血液検体の容器を金づちで破壊したと報じたられた。国際水泳連盟は(FINA)は当初、処分を口頭の警告のみにとどめていた。WADAは、FINAが適正に処分しなかったとしてCASに提訴した。

昨年7月、韓国・光州で開かれた水泳世界選手権の男子400メートル自由形の表彰式で、孫楊選手が金メダルを獲得した。銀メダルを獲得したオーストラリアのマック・ホートン選手は、ドーピング疑惑の孫楊選手への抗議として、表彰台に登らず、握手も拒否した。孫楊選手はホートン選手に対して、「私にリスペクトする必要はないが、しかし中国にリスペクトしなければならない」と反発した。

CASは2月28日、18年9月4日のドーピング打ち抜き検査をめぐる孫楊側の行動はFINAのドーピング規則に違反したと判断した。また、孫楊が当初から主張した「WADA検査員の資格と検査手順に問題があった」について、CASは検査員に問題はなかったとした。

中国国家体操選手団の元帯同医師、薛蔭嫻氏(82)は米VOAの取材に対して、孫楊に対するCASの判決について、中国当局に大きな責任があり、「禁止薬物を服用した選手をかばい、隠ぺいを行った」と批判した。薛氏は長年中国スポーツ界における当局主導のドーピング問題を告発してきた。その後、息子らとともにドイツに亡命した。

中国メディア「財新網」の報道によると、18年9月4日夜、WADAの検査員2人が孫楊の自宅を訪れた際、孫はその場で国家競泳選手団の責任者である程浩氏と浙江省反ドーピングセンターの韓照岐・副主任に電話をかけ、指示を求めた。韓照岐氏は、現場にいた孫楊の専属医師に対して、「この検査を絶対に拒否してはならない。しかし、私たちは相手に、検査を行う権限授与書と認定証明書の提示を求めることができる」と述べた。

VOAは、財新網の報道は中国当局と地方政府関連部門の強い関与を反映したと指摘した。

薛蔭嫻氏の息子、楊偉東氏はVOAに対して、「一般的に、検査員に尿検体と血液検体の採取手順を終わらせてから、選手が異議を申し立て、提訴をすることができる。孫楊が関係者に血液検体の容器の破壊を命じたのは、不安に思ったからに違いない」と述べた。

孫楊の母、楊明さんはこのほど、SNS上に投稿し、中国水泳連盟を非難した。楊明さんの書き込みは、中国水泳連盟が2014年の国内大会で、ドーピング検査で陽性反応が出た孫楊をかばったことに言及した。投稿は現在、削除された。

薛氏は、孫楊が「ドーピングの常習犯」と非難し、「今まで複数回ドーピング規則に違反したため、国内で処分されるべきだった。これによって、ドーピング問題に関する国家体育総局(スポーツ管轄政府機関)の立場を浮き彫りにした」と述べた。

CASの判決で現役継続の道を閉ざされた孫楊は、スイス連邦裁判所に上訴する意向を示した。

(翻訳編集・張哲)

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