「比翼の鳥」と「連理の枝」の由来
「天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝とならん」。これは、中国唐代の詩人白居易(=白楽天、772-846年)の長編叙事詩「長恨歌」の中の有名な一節で、安碌山の乱が起きて都落ちすることになった玄宗皇帝が最愛の楊貴妃に語ったと詠われているものである。
「比翼の鳥」(※1)は、漢代の類語・語釈辞典『爾雅(じが)』にすでに現れる。一眼一翼(一説には、雄が左眼左翼で、雌が右眼右翼)の伝説上の鳥で、地上ではそれぞれに歩くが、空を飛ぶ時はペアになって助け合わなければならない。このことから、後の人は仲のいい夫婦を「比翼の鳥」に譬えるようになったと言われる。
一方、「連理の枝」(※2)は、東晋(317-420年)に著された志怪小説集『捜神記』のある説話に由来する。戦国時代、宋の国の大臣・韓凭(かんひょう)と夫人の何氏は仲睦まじい夫婦であった。ところが、酒色に溺れ非道であった宋の国王・康王は、何氏の美貌が気に入り、韓凭を監禁してしまった。
関連記事
松の煙から始まり、幾多の試練を経て一挺の墨が生まれる製墨の工程。それは人間の修養や風骨の形成と深く重なっています。苦難を乗り越え、静けさの中で自らを磨き上げる人生の奥深さを描いた珠玉のエッセイです
西暦705年創業、世界最古の旅館・慶雲館。建物や時代が変わろうとも、変わらぬ「もてなしの心」を守り抜く姿から、日本の老舗企業が幾世代にもわたり受け継いできた事業承継の魂と「不易流行」の本質を紐解く
一枚の桑の葉が蚕の体内で絹糸へと変わり、礼制や衣冠文化を支え、五千年の中華文明を紡ぎ出していく。小さな生命の神秘と悠久の歴史の源流、そして万物に宿る秩序と思索を描いた文明論エッセイ
茶道に息づく「一期一会」の精神を、日常の何気ない所作や東洋思想の「仁」と結びつけて紐解くエッセイ。二度と戻らない「いま、目の前の瞬間」に全身全霊で向き合うことの尊さを静かに問いかけます
秋分を迎え、昼夜の長さや季節の巡りから天地の陰陽の調和を読み解く一文。四季の移り変わりを一幅の太極図に見立て、自然の摂理と人の生き方・養生の知恵を深く静かに問いかける