福島ALPS処理水、海洋・大気放出は今後30年内で実施=東電が素案

[東京 24日 ロイター] – 東京電力ホールディングス<9501.T>は24日、福島第1原子力発電所にたまり続けるALPS(多核種除去設備)処理水の処分方法について、海洋放出、大気放出を実施する場合「(廃炉期間の)30―40年を有効に活用する」とし、一度に大量に放出することを避けることなどを盛り込んだ検討素案を発表した。30―40年は、事故発生からの廃炉期間となるため、事故から9年が経過した足元からは、20―30年内に行うことになる。

東電は、今回の検討素案について「これで東電が何かを決めたと言うわけではない」としており、政府が処分方法を決めるにあたって実施する関係者への説明会での参考となるようにまとめたとしている。

素案では、2次処理でトリチウム以外の放射性物質の量を可能な限り低減。2次処理後、大気放出時には、ボイラーで加熱・蒸発処理したうえで、空気で希釈して大気中に放出する。一方、海洋放出の場合、2次処理後、国の基準の40分の1にあたる1リットル中1500ベクレル未満となるよう海水で十分に希釈してから海洋に放出する。

風評被害対策としては、政府の処分方法が決まった後、具体的な方針を示す、とした。社内体制の強化や必要な人員・予算の確保を図るほか、様々な取り組みを行っても風評被害が発生した場合、適切に賠償対応するとしている。ただ、賠償については、その範囲や規模を決めているわけではない。

福島第1原発で出る汚染水を処理したあとの水はタンクに保管されているが、2022年には限界を迎えると予想されている。3月12日現在、タンク数は979基、貯蔵水量は119万立方メートルとなっている。

処分方法は、政府の小委員会が今年2月、海洋放出か大気放出が現実的とする報告書を出している。今後、幅広い関係者の意見を聞き、政府が最終決定する。意見聴取の場としては、まず、来月6日に福島で実施することが予定されている。

 

(清水律子)

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