EU首脳、新型コロナ対策で結論先送り ESM活用や共同債発行

[ブリュッセル 26日 ロイター] – 欧州連合(EU)首脳は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済対策についてテレビ会議で協議した。ユーロ共同債発行やユーロ圏救済基金活用の案について、財政規律を重視する北部勢と財政が困窮する南欧勢との意見の隔たりが埋まらず、結論は持ち越しとなった。

イタリア、スペイン、フランスは景気支援に向けた共同債発行を主張したが、ドイツとオランダがこれに反対した。

6時間に及んだ会議ではまた、ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)を活用し、各国に国内総生産(GDP)2%分の与信枠申請を可能にする案が議論されたが、合意はまとまらず、首脳らは2週間以内に詳細を提示するよう各国財務相に要請した。

ドイツのメルケル首相は会議後「一部の加盟国はコロナ債を提案したが、ドイツは、これは全加盟国の考えではないとの意見を述べた。私にとってはESMが好ましい手段だ」と語った。

ドイツに意見が近いオランダのルッテ首相はESMは「最終手段」で細部を詰める必要があると指摘し、共同債には反対すると述べた。

ESMが提示したユーロ圏加盟国向けの与信枠の条件は、活用可能な期間が最長2年で、平均の返済期限は5━10年。

欧州で新型コロナ感染者が最も多いイタリアは、実質的に無制限の支援策を呼び掛けた。首相府は声明で「革新的な金融手法で対応する必要がある」と強調した。

EUはこれまでのところ新型コロナ対応の経済対策や医療機器の共有化、生活必需品の確保で結束を示せずにいる。

ミシェルEU大統領はこれまで、第2次世界大戦後の米国による欧州の経済援助である「マーシャルプラン」のような復興計画を呼び掛けているが、27加盟国の意見は分かれたままだ。

スペインのサンチェス首相は「2008年金融危機の過ちを繰り返してはならない。この過ちが市民の不満や欧州統合深化を巡る対立を招き、ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭につながった」と訴えた。

EU首脳は一方、戦略的に重要な医療およびインフラ関連の企業を域外企業による敵対的買収から守ることで合意。医療資源の不足や緊急の入国制限に関しては議論が白熱した。

奇しくもこの日は、域内の自由な移動を認める「シェンゲン協定」が25周年を迎えたが、各国が国境封鎖や国境での検査強化を決めているため、モノの移動が滞っている。

*内容を追加しました。

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