豪最高裁、少年への性的虐待裁判でバチカン枢機卿に逆転無罪判決

[7日 ロイター] – オーストラリア最高裁は7日、ローマ法王庁(バチカン)財務事務局(財務省)長官だった枢機卿のジョージ・ペル被告(78)が1990年代に聖歌隊院の複数の十代男児に性的虐待を働いたとして有罪判決が出ていた案件で、逆転無罪を言い渡した。

同枢機卿は、メルボルン大司教時代に日曜日のミサの後に16歳以下の少年二人に強制性行為やわいせつ行為を働いたとして訴えられ、刑期6年の有罪判決を受けていた。同枢機卿は、性的虐待で訴えられたカトリック聖職者としては最高レベルの人物だが、一貫して無罪を主張していた。

最高裁は、下級裁判所が枢機卿の有罪に疑念を抱かせる根拠について審議しなかったとして、この判決を覆した。

審理では7人の判事全員が、この裁判の陪審員らが枢機卿の有罪に「疑念をいだいていたはず」との見解で一致したという。再審は行われない。

枢機卿はメルボルンの刑務所を後にするに際して声明を発表し、「原告に悪感情を持ってはいない。私への無罪判決が、多くの人が感じている心の傷と苦しみに追い討ちをかけることを望まない。もちろん、傷と苦しみはもう十分ある」と述べた。

復活祭前の聖週間のさなかに出された判決に対し、バチカンは今のところコメントしていない。

2014年にペル枢機卿をバチカンの財務事務局長官に任命したローマ教皇フランシスコは、この問題についてすべてが出尽くした後にコメントするとの立場を示していた。

ペル枢機卿は、枢機卿の位は失っていないが、告訴により昨年に財務事務局長官の肩書きを剥奪されている。

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