米、新型コロナ死者3万人突破 高止まりのNY州はマスク着用義務化

[ニューヨーク/ワシントン 15日 ロイター] – 新型コロナウイルス感染症による米国の死者が15日、3万人を突破した。1週間前の2倍に急増し、世界で最多。感染拡大が最も深刻なニューヨーク州は州民に対し、公共の場で社会的距離を維持できない場合、マスクの着用を義務付ける行政命令を発令した。

一方、新型コロナ感染拡大の影響が限定的な●20ほどの州では、トランプ大統領が目指す5月1日をめどに行動制限を緩和し、経済活動の一部を再開する方向で検討を進めている。この日発表された3月の小売売上高と鉱工業生産はともに大幅なマイナスとなり、経済再開の必要性を浮き彫りにする格好となった。

ロイターの集計によると、●15日に新型コロナ感染症による死者数は2371人増加し、3万0800人に達した。15日の増加数はこれまでで最多。●感染者の累計は63万5000人超となった。

国内最初の死者が2月29日に報告されてから38日間で死者数は1万人に増え、その後わずか9日間で1万人から3万人に急増した。

今週公表されたワシントン大学のモデル分析に基づく予測は、死者数は8月初旬までに6万8800人と、現在の2倍以上に達する可能性を示している。

米国に次いで死者数が多いのはイタリアで、2万1000人強に上り、3番目はスペインの1万8500人強。世界の死者数は13万3000人超、●感染者は200万人を超えている。

ニューヨーク州のクオモ知事は今週、コロナ危機は最悪期を脱しつつあると述べている。知事によると、15日時点で新型コロナ感染症による同州の1日当たりの死者数は752人と、前日から小幅減少したものの、なお高止まりの状況が続いている。入院者数は2日連続で減少した。

●保健当局者は、死者数は感染拡大の遅行指標であり、外出禁止が有効でないことを示すものではないと指摘している。

この日出した行政命令は、州民が公共の場で他人との距離を6フィート(1.8メートル)以上保てない場合、マスクもしくはバンダナなどの代表品の着用を義務付けている。

知事はまた、経済活動再開に関する計画の概要も明らかにし、重要性が最も高く、感染拡大のリスクが最も少ない事業から段階的に活動を再開する方針を示した。

<経済に大打撃>

市民の行動制限によって米経済は大打撃を受け、事業停止命令で多くの人が職を失った。

この日発表の指標では、3月の小売売上高が前月比8.7%減と、調査を開始した1992年以来の大幅なマイナスとなった。個人消費は米経済の3分の2以上を占めている。

3月の鉱工業生産統計も製造業生産指数が6.3%低下し、1946年2月以来の大幅な落ち込みとなった。

エコノミストらは米経済が3月にリセッション(景気後退)入りしたと指摘する。

ロサンゼルスにあるロヨラメリーマウント大学の経営学教授、Sung Won Sohn氏は「米経済はフリーフォール(垂直落下)同然の状況だ」と語った。

トランプ大統領は当初、新型コロナの影響の大きさを軽視し、4月12日までの経済活動再開を呼び掛けていたが、現在は5月1日をめどにする考えを示している。

米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド局長は15日、ABCのテレビ番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、「(新型ウイルス感染拡大の)影響が限定されている州は19、20州あり、いくつかの州では知事が(経済再開に向けた)準備が整ったと判断するだろう。CDCはこうした動きを支援する構えだ」と述べた。

●ここから

一方、感染拡大が深刻なニューヨーク州、カリフォルニア州、ルイジアナ州、ニュージャージー州、マサチューセッツ州、ミシガン州の各州知事は、経済活動を再開する前により幅広い検査が必要だと述べた。

当局者によると、自宅や介護施設などで新型ウイルスの検査を受けないまま死亡したケースもあるとみられ、死者数は過少に計上されている可能性が高い。

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