【紀元曙光】2020年4月22日

「上を向いて歩こう、涙がこぼれないように」。日本人が、ある特殊な情況のもとで、この歌をうたうのは、おそらく3回目だろう。

▼1度目は平成7年(1995)阪神淡路大震災のとき。2度目は平成23年(2011)東日本大震災のとき。この二つを書いて、本稿の進みがしばらく止まった。

▼筆者自身が被災したわけではない。それでも、その時の情景が閃光のように思い浮かぶ。大切な人を失った悲しみと、それでも今日を生きねばならない現実の厳しさを突きつけられた日本人の動揺が、筆者のなかにも、共感の記憶として甦ってくるのだ。

▼この歌をうたった坂本九さんが亡くなったのは、昭和60年(1985)8月12日の夕暮れ時だった。日航ジャンボ機墜落事故という大惨事の、520名という途方もない犠牲者のなかに九ちゃんも入っていた。日本中が哀悼の念に包まれ、本当に夜空の星になってしまった人々を捜して、多くの人が上を向いて涙を流した。

▼令和2年の今、地震や津波ではないが、ある意味でもっと凶悪な、人類に大禍をもたらすウイルスが世界を覆っている。中共ウイルスという悪名からして、さもあろうと思う。なにしろ、人の体だけでなく、正常な社会をずたずたに引き裂くのだ。

▼「見上げてごらん夜の星を」「明日があるさ」「幸せなら手をたたこう」「涙くんさよなら」「上を向いて歩こう」。坂本九さんの残してくれた歌が、こんなにある。今は、人と人が親しく近寄ることができない。ならば「泣きながら歩く、一人ぼっちの夜」であっても、心だけは寄せ合って、一緒に歌おう。

関連記事
よもぎと小豆は、漢方と日常生活において重要な役割を果たしてきました。二つの組み合わせはその味に魅力があるだけでなく、そのユニークな性質を活かして体のバランスを整えてくれます。
この若草色の団子は、ただ目で楽しむだけでなく、桜の花々とともに季節の風情を一層引き立てます。
築200年の荒れ果てた家を購入し、5年かけて新しい命を吹き込んだ米国イリノイ州の夫婦は「それだけの価値があった […]
現代社会は、ストレスや様々な疾患に直面しており、多くの人々が健康への不安を抱えている状況にあります。しかし、私たちの身近な食材には、そんな不安を和らげる力を持つ意外なヒーローが存在します。それが「キャベツ」です。
SARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)のスパイクタンパク質が抗がん作用を妨げ、がんを促進する可能性があることが、最近発表されたブラウン大学による細胞研究のプレプリント(査読前原稿)で明らかになった。