世界各国、コロナワクチン開発に80億ドル拠出確約 米は不参加

[ブリュッセル 4日 ロイター] – 世界各国の首脳や欧州連合(EU)などの機関は4日、新型コロナウイルス向けワクチンの開発、製造、配布などのために総額80億ドルを拠出することを確約した。ただ、米国はこの取り組みには参加していない。

新型コロナウイルス感染症「COVID-19」を引き起こす「SARS─CoV2」に対するワクチンと治療薬開発などの取り組みは、EU加盟国のほか、英国、ノルウェー、サウジアラビアなどの非EU加盟国も参画。この日に実施されたテレビ会議方式での会議には日本、カナダ、南アフリカなど20を超える国の首脳が参加した。ただ新型ウイルスの起源とされている中国は、EU代表部大使が参加するにとどまった。

会議の議長を務めた欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、新型ウイルス感染症に対し「ワクチン開発、診断、治療のためにわずか数時間で合計74億ユーロ(81億ドル)の資金拠出が確約された」とし、「過去に例を見ない国際協力体制の始動に向けた弾みとなる」と述べた。

ただEU当局者は、これまでに発表された対応策も含まれているため、どの程度の新たな資金拠出が確約されたのかは分からないとしている。

各国はこの後も資金獲得に向けた取り組みを継続。世界銀行のほか、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が率いるビル&メリンダ・ゲイツ財団などによるこれまでの取り組みを推し進める。フォンデアライエン委員長によると、これまでに米歌手のマドンナさんが100万ユーロの寄付を申し出た。

新型ウイルスに感染し、一時は集中治療室(ICU)に入った英国のジョンソン首相は、ワクチン開発は「誰もが共有する最も喫緊の課題」と指摘。このほか、カナダのトルドー首相やフランスのマクロン大統領など多くの首脳から誰もがワクチンの恩恵を受けられるようにする必要があるとの考えが示された。

EU当局者によると、資金を受け取る製薬会社は新型ウイルスのワクチンや治療薬に関する知的財産権を放棄することは求められない。ただ手頃な値段で世界中の人々が入手できるようにする必要がある。

フォンデアライエン委員長は、80億ドルの資金拠出の確約は予想通りだったと指摘。ただこれは初期の規模でしかなく、将来的により多くの資金が必要になるとの考えを示した。

「世界健康危機モニタリング委員会」(GPMB)は、80億ドルのうち30億ドルをワクチンの開発、製造、配布、22億5000万ドルを治療薬の開発、7億5000万ドルずつを診断キットと個人防護具の確保、12億5000万ドルを世界保健機関(WHO)支援に振り向ける必要があるとしている。

米国は新型ウイルスの感染者数が世界で最も多いが、今回の取り組みには不参加。米政府高官はロイターの電話取材に対し、「EUが進めるこの取り組みを支持している。米国も最前線にいる」と述べるにとどめ、米国が参加していないことの具体的な理由は説明しなかった。

トランプ米大統領は4月、新型ウイルスへのWHOの対応を巡り、WHOへの資金拠出を少なくとも一時的に停止するよう政権に指示したと表明。「基本的な任務の遂行を怠った。責任を取る必要がある」と述べたほか、新型ウイルスに関する中国の「偽情報」をWHOが助長したことが感染拡大につながった可能性が高いと非難している。

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