オーストラリアのセブングループホールディングスのケリー・ストークス取締役会長。2014年8月5日撮影。(WIlliam West/AFP via Getty Images)

<中共ウイルス>豪億万長者2人、政府の中国批判に反発 議員「自国利益優先すべき」

豪メディア王、ケリー・ストークス氏は同国政府に対し、中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染拡大をめぐる中国への批判を撤回するよう要求した。ストークス氏は4月30日、自社セブン・ウェスト・メディア傘下の西オーストラリア新聞から、豪首相の中共ウイルス独立調査機関の設立呼び掛けによる経済的影響、そして中国総領事からの豪州政府への警告を報道した。

またストークス氏は、インタビューで「モリソン首相は中国との関係修復に徹し、北京の怒りを鎮静させ、外交による壊滅的な経済影響を避けるべきだ」と中国への非難を止めるようスコット・モリソン首相に警告した。

中国批判に反対する豪の億万長者はストークス氏で2人目となった。同国政府が中共ウイルスの感染拡大調査の方針を決めたばかりだった。

豪鉄鋼大手会長、閣僚記者会見に無断で中国総領事を招待

政府の方針を批判したもう一人の億万長者は豪鉄鉱石大手のフォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)のアンドリュー・フォレスト会長。同会長は4月29日、駐メルボルン中国総領事を閣僚記者会見に無断で招待し、対中批判に反論する講演をさせた。同会長のミンダルー財団が政府に代わって1000万個のウイルス検査キットの調達に成功し、厚生大臣から称賛された直後の出来事だった。

ティム・ウィルソン自由党議員は、「外交論争で対立が生じた際」には、自国への忠誠を支持するべきであり、閣僚会見は他国を支持するための講演会ではない」とフォレスト氏の行動を非難した。

4月30日、ピーター・ダットン内務大臣は2GBラジオで、「フォレスト氏には失望した」と中国総領事の招待を批判した。

アンドリュー・ヘイスティ自由党議員は、FMG社の鉄鉱石のほとんどが中国に輸出されているため、同会長が国の政策を誘導しようとしていると述べた。また、フェイスブック上でも、「プライベートジェット機で中国共産党員を会見に乱入させたことは心外だ。中国に忖度するのではなく、自国利益を最優先に外交を進めるべきだ」と同会長の行動を非難した。

フォレスト氏は、会見で「これは偉大な両国の感謝と友情のしるしである」と述べて中国総領事の出席を擁護したが、その後の非難を受けて同氏は、「コメントする意味がない」と述べるにとどまった。

5月1日、フォレスト会長の友人で人気ラジオ・パーソナリティ、アラン・ジョーンズ氏がモリソン首相に、この件について見解を求めた。首相は「中国総領事は招待されていなかった。その件について明確にすると、世界で20万人以上、未確認もあわせるとその数倍以上の命を奪ったこのウイルスは、現象論的に言えば中国が発祥地であることは確かだ」と述べた。

豪州政府主権保護の動き

首相は4月29日、豪州の景気回復への道には、主権を主張し、自国を最優先することが必要だと述べた。

ヘイスティ議員は、豪州への主権侵害を懸念し、中国共産党の内政干渉に反対する署名運動を発起した。豪州政府の立場を強化し、経済力及び安全を保障することを目的とした請願書には、「ほとんど認知されていないが、中国共産党は世界中で政策の誘導を水面下で行い、豪州政府にも内政干渉することで、戦略的資産の所有権や政策決定のプロセスへの影響力を高めている」と記されている。

5月1日の時点で、請願書には、5千人以上の署名が集まっている。

(大紀元日本語ウェブ編集部)

 

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