中国湖北省宜昌市三斗坪に位置する三峡ダム(Getty Images)

中国24の省で大規模な洪水 三峡ダムへの懸念が高まる

6月に入ってから、中国各地で集中豪雨による大規模な洪水が発生した。中国当局の15日の発表では、国内24の省で850万人が被災した。17日早朝、中国の三峡ダムの上流にある四川省カンゼ・チベット族自治州丹巴県の発電所の施設と周辺の村が洪水で流された。三峡ダム決壊への懸念が再燃した。

中国メディアの報道によると、6月16日以降、中国南部、中部と西南部で豪雨が24時間にわたって継続的に降り続いた。17日、四川省の丹巴県内で13カ所以上で土砂崩れや地すべりが確認された。県内の発電量2000キロワットの梅龍発電所と発電量3200キロワットの阿娘溝発電所が、土石流によって崩壊し、一部の村が飲み込まれた。梅龍発電所の地元である梅龍溝では、大規模な堰止湖が発生した。中国メディア「天気網」によると、堰止湖の容量は1234万立法メートルだ。

中国国内ネット上で、四川省などの水害で各地の小型ダムが決壊すれば、湖北省宜昌市にある三峡ダムは崩壊する可能性があるとの心配の声が上がった。17日、中国人ネットユーザーは海外ツイッターで、「宜昌市より(長江の)下流にいる市民、早く逃げなさい」との国内専門家の警告を相次いで転載した。この専門家は、中国建築科学研究院の研究員である黄小坤氏だ。同氏は、SNS微信のグループチャットで警告を書き込んだ。

三峡ダムに詳しい中国人の水利専門家、王維洛氏は大紀元の取材に対して、「三峡ダムが崩壊すれば、(長江の中下流にある)宜昌市や湖南省岳陽市から、長江の入り江に位置する上海市まで、甚大な被害をもたらす」と強く懸念した。

王氏は「峡谷(三峡)が形成されたのは、この地域の地盤が弱いからだ」と述べ、同地域の住民も土砂災害に見舞われるリスクが大きいとの見方を示した。同氏によると、三峡ダムの建設に伴い、多くの住民が新しい町へ立ち退かされた。新しい団地の大半は、山の斜面や山の上に建てられており、耐震補強工事が施されていないうえ、今は土石流に飲み込まれる恐れがある。

中国水利部(省)の葉建春次官は6月11日の記者会見で、「中国は全面的に洪水期に入った。計148本の河川で警戒水位を超え、洪水が発生している」と明らかにした。葉氏によると、中国国内にある9万8000基のダムのうちの9万4000基は小型ダムだ。次官は「一部のダムに決壊のリスクがある」と警告した。

また、葉次官は、水害防止のための施設や設備の対応基準を超える大規模な洪水、ダム決壊事故と土砂災害といった「3大リスク」を防ぐことが、今年の重要任務だとした。同氏は、「対応基準を超える洪水が、今年のブラック・スワン(予想外の出来事)になりうる」との考えを示した。

王維洛氏は、葉次官が指した「ブラック・スワン(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象)」は長江上流および三峡地域の集中豪雨で三峡ダムに大きな問題が起きることだと分析した。しかし、三峡ダムが建設される前から、毛沢東を含む最高指導部の高官や専門家がその危険性を指摘したため、「ブラック・スワン」ではなく、「グレーリノ(灰色のサイ・大問題に発展する確率が高いのに、軽視されたリスク)」だと強調した。

王氏が得た情報では、国内9万8000基のダムの4割が「安全ではない」という。

 

(翻訳編集・張哲)

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