ベルギー上院議会では6月12日、中国における臓器の強制摘出を非難する議案が可決した(大紀元)

ベルギー上院議会、中国の臓器摘出問題を非難する法案可決

ベルギー上院議会で6月12日、中国共産党が法輪功学習者やウイグル人など「良心の囚人」に対して、強制的に臓器を摘出している問題を非難する法案が可決した。

今回、ベルギー上院議会で可決した決議7-162は、ベルギー政府が中国に対して、国連人権理事会特別調査官による調査の受け入れ、臓器の入手ルートに完全な透明性の確立、臓器移植に関する定期的な情報公開、臓器強制摘出に関わった疑いのある人物を起訴するなど、この問題の即刻停止に向けて行動するよう厳しく催促している。

各党議員は、臓器摘出といった犯罪行為に反対するとの意見を述べた。

マーク・デメスメーカー議員は、「中国は共産党による権威主義体制下の社会で、閉鎖的な政治体制が厳しい。この政治システムの下で、法輪功やキリスト教徒、少数民族が「生きた臓器のドナープール」にされていると語った。

ゲイン・ゴイデンホーフェン上院議員は、決議案のスポンサーを代表して、次のように述べた。声明の中で、「中国側の処刑数と移植件数はそれぞれ信頼性が低い。中国共産党政権が主張する『死刑囚の臓器利用』は考えにくい」「私たちは、違法で非人道的な行為を止めるための努力を継続する」と述べた。

エレーヌ・リクマンズ議員は、「中国は、臓器移植について『何も隠すことがない』というのであれば、独立した国際的調査官の立ち入りを可能にして、定期的に詳細な報告を行うべきである」と付け加えた。

決議は、2016年4月27日に欧州議会が可決した「中国の良心の囚人から臓器を強制摘出する非難決議」や、カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏らによる中国臓器移植問題の調査報告「戦慄の臓器狩り」、2019年6月、人道犯罪を裁量する民衆法廷が、「中国ではいまもなお継続して広範囲に渡り臓器の強制摘出が行われている」などの報告を参考にした。

決議には「臓器移植のために臓器を販売する目的で宗教的・政治的な囚人を殺害することは、生命の基本的権利を侵害するものであり、絶対許されないことである」と書かれている。

ベルギー国内法は、海外で違法な臓器移植を受けることやその仲介を禁止すると定めている。

中国政府は、一般的な死刑執行の数、死刑囚の臓器を使用した臓器移植の数を公表していない。また、2015年、国連拷問禁止委員会は、中国政府に対して「臓器の強制摘出疑惑など法輪功関連の迫害を調査するために独立した調査をする」よう勧告した。しかし、こうした調査は行われていない。

中国は、2007年に制定された臓器移植法により、臓器移植を目的に訪中した外国人に手術を行うことを禁止している。しかし、2018年の韓国メディア「テレビ朝鮮」が中国現地を調査した報道番組によれば、中近東や日本、韓国からの渡航移植者がいるとされる。

法輪功の信仰を理由に中国当局に逮捕され、12年間服役した実業家の于溟(ウ・メイ)さんは、2018年、中国を離れ渡米することができた。于さんは、中国滞在中に収容所や移植病院で機密の調査を行い、映像や写真の記録を残している。

于さんの質問に応じた武警病院の李朝陽・医師は、自身は500例以上の肝臓移植に関わったと述べ、「2~3週間で、気功をする人を見つけることができる」「30歳未満の若い人の(移植用)高品質の臓器を手配できる」と述べた。

また、すでに肝臓移植を受けた患者は、医師に施術費用の金額を上乗せして、気功の実践者がドナーである臓器の移植を受けたという。「気功をしている若い臓器を指定した。気功は呼吸法だから、彼らの臓器の状態は良くて、健康的だ」と述べた。

(編集・佐渡道世)

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