WTO、通商問題に公平に対応=次期事務局長候補のフォックス氏

[チューリヒ/ジュネーブ 17日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)の次期事務局長に名乗りを挙げている英国のフォックス前国際貿易相は17日、世界的な景気減速と新型コロナウイルス禍に直面する中、WTOは通商問題においていかなる加盟国の側にも付かないと表明した。

フォックス氏はWTO本部で行った記者会見で、世界貿易が破綻すれば全ての国が痛手を受けるとの考えを示し、「2国間通商問題で、WTOはどちらの側に付くこともしない。WTOの役割は既存の規則を維持することだ」と述べた。

フォックス氏はトランプ政権の下で保護主義的になった米国を非難することは避けたが、米国が機能停止に陥っていると非難しているWTOの紛争処理機関、および上級委員会について、改善できるとの考えを示した。

その上で、新型ウイルス感染拡大で世界経済が大きな痛手を受ける中、各国間の合意はこれまでに増して重要になっていると指摘。「新型ウイルス禍終息後の回復に向け公平な状況を準備するという、世界経済に対する前向きな兆候として合意模索の意欲が見られている」と述べた。

フォックス氏は経済協力開発機構(OECD)の見通しに基づくと、世界経済は今年上半期に13%のマイナス成長に陥ったと見られていると指摘。「(WTO事務局長のポストは)テクノクラート(技術官僚)だけではなく、数々の困難な場をくぐり抜けてきた政治家に適している」と述べた。

WTOのアゼベド現事務局長は任期より1年早い今年8月末に退任。後任候補としてフォックス氏を含む8人が立候補を表明している。

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