米豪、南シナ海の法支配回復へ協力 豪は対中関係も重要と強調

[ワシントン 28日 ロイター] – 米国・オーストラリア両政府は28日に開催された外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、ルールに基づいた国際秩序を維持することが必要との見方で一致した。ただ、オーストラリアのペイン外相は、豪中関係は重要であり、害を及ぼすつもりはないと強調した。

協議はワシントンで2日間にわたって開催され、米側はポンペオ国務長官とエスパー国防長官、豪側はペイン外相とレイノルズ国防相が出席した。

ポンペオ長官は共同記者会見で、オーストラリアが中国の圧力に立ち向かっていると称賛。中国が海洋権益を主張している南シナ海で法の支配を取り戻すため、米豪両政府は今後も協力していくと述べた。

ペイン外相は、米豪が法規範に対するコミットを共有したと指摘。中国による香港の自治への侵食のような行為に対して責任を負わせると改めて主張した。

また米豪両政府は、有害で誤った情報を監視・対応する作業部会を設立するほか、ワクチン供給など感染症を巡る協力の拡大で検討することで合意したと述べた。

一方、豪政府は中国や米国とあらゆる問題で合意しているわけではないとし、「対中関係は重要で、害を及ぼすつもりはない。ただ、われわれの利益に反することを行うつもりもない」と述べた。

ペイン外相は、米側との意見の相違に関する詳細な言及は避けたが、豪政府は国益と安全保障に基づき、独自に判断しているとし、「中国への対応も同様だ。われわれは経済や他の面でも強い結びつきがあり、両国の利益につながっている」とした。

ポンペオ長官は先週行った演説で、中国共産党に対して行動を改めるよう促すには、米国と同盟国が「より創造的で積極的な手段」を行使する必要があると述べ、「志を同じくする国々、民主主義国で新たな同盟」を組む時かもしれないとの考えを示した。

しかし、トランプ政権は貿易などを巡り欧州連合(EU)を含む一部の伝統的な同盟国に強硬姿勢を取ってきたことから、ポンペオ長官の演説には批判の声も上がっていた。

ペイン外相は演説への具体的な言及を控えた上で、米豪が共通の価値観に基づいて行動しているとしても、「ポンペオ長官の演説は彼独自のもので、オーストラリアの立場はわれわれ独自のものだ」と述べた。

ポンペオ長官は、米政権のアプローチは実現不可能ではないかとの記者団の指摘を否定し、「米国を選ぶか中国を選ぶかという問題ではない。自由と民主主義を選ぶか、独裁政治と権威主義を選ぶかという問題であり、民主主義国、大西洋連合はどちら側を望むかはっきり分かっていると私は確信している」と語った。

オーストラリアにとって米国が重要な安全保障上の同盟国である一方、中国は最大の貿易相手国だが、豪政府が新型コロナウイルスを巡る国際調査を求めたことを受け、豪中関係は冷え込んでいる。

*内容を追加しました

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