カナダのモルノー財務相が辞任、OECD事務総長に立候補へ

[オタワ 17日 ロイター] – カナダのモルノー財務相は17日、辞任を発表した。財政政策を巡りトルドー首相と意見の対立があったほか、学生の就職活動支援制度の運営主体に起用された慈善団体との関係について批判の声が出ていた。

モルノー氏(57)は議会選には再出馬せず、代わりに経済協力開発機構(OECD)の次期事務総長に立候補する意向を示した。

2015年のトルドー政権発足以降、財務相を務めてきた同氏は記者会見で議会選に再出馬する考えがないため、より長期に取り組める人物が財務相には適任だと説明した。

関係筋によると、新型コロナウイルス流行に対応する財政支援の規模や環境関連事業への投資をどれだけ予算に盛り込むかについて、モルノー氏は他の閣僚と対立していた。

トルドー氏の側近によると、同氏は2021年度の予算で環境関連の支出を大幅に増やし、石油に大きく依存した経済構造の転換を進めたい考えで、カーニー前イングランド銀行(中央銀行)総裁が非公式の顧問に就任した。

カナダの今年度の財政赤字は3432億カナダドル(2534億米ドル)と第2次世界大戦後で最大となる見通し。新型コロナ対策関連の支出は国内総生産(GDP)の約14%。

BMOの首席エコノミスト、ダグ・ポーター氏はリポートで「財政政策は既にエンジン全開だ」として、財務相の交代で政策が変更される公算は小さいとの見方を示した。

カナダドルはモルノー氏の辞任のニュースにほとんど反応しなかった。

シドニーのナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の為替戦略責任者、レイ・アトリル氏は辞任発表前にうわさによる売りのような動きが一部見られたとしながらも「現段階でカナダ政府に広範な影響が及ぶ印象は受けない」と述べた。

後任候補にはフリーランド副首相、シャンパーニュ外相、国家財政委員会のジャンイブ・デュクロ議長が含まれるとみられる。

トルドー氏は声明を出し、モルノー氏の5年間の功績に謝意を表明。OECD次期事務総長への立候補についても「精いっぱい支援する」とした。

米政府高官は先月、米国がOECD次期事務総長に大統領次席補佐官のクリストファー・リデル氏を推薦すると明らかにしている。

モルノー、トルドー両氏は問題となっている慈善団体との関係を巡り利益相反の疑いが出ている。

野党保守党のシーア党首はツイッターへの投稿で「(モルノー氏の辞任は)政府が混乱状態に陥っている新たな証拠だ。政府はスキャンダルにまみれているためトルドー氏は自分の身を守るために右腕(のモルノー氏)を切った」と批判した。

*内容を追加しました。

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