米FDAディレクター、有効性未確認のコロナワクチン承認なら辞任

[20日 ロイター] – 米食品医薬品局(FDA)のバイオ医薬品評価研究センターのディレクター、ピーター・マークス氏は、トランプ政権が、安全性や有効性が確認される前に新型コロナウイルスのワクチンを承認した場合、辞任する決意を表明している。

関係筋によると、マークス氏の発言は、米国立衛生研究所(NIH)が編成したワクチン作業グループのメンバーである政府当局者や製薬会社幹部、学者らとの先週14日の電話会議で提起された懸念を受けものという。

同氏はロイターに対し、この発言を確認した。

科学者や公衆衛生当局者、議員らは、トランプ政権が大統領選を前に、実用化を支援する臨床試験データが得られなくてもコロナワクチンを承認するようFDAに圧力を掛ける可能性を懸念している。

マークス氏はロイターに対し、政治的な圧力は受けていないとし、FDAは科学にのみ基づいた行動を取ると指摘。「安全でないものや効果がないものの承認を支持することはできない」と語った。

また「レッドライン(越えてはならない一線)を決める必要がある。それが私のレッドラインだ」とし、圧力を受けるようなことがあれば「(辞任する)義務を感じる。そうすることで何かがおかしいと国民に示すことになるからだ」と続けた。

その上で、有効性や安全性が示されたワクチンについて、政治的な利益のために誰かが承認を阻止しようとすれば、同様に反対する構えだと表明した。

FDAとNIHを監督する厚生省の当局者、マイケル・カプト氏は、2021年1月までに安全で有効なワクチンを特定することを目指していると説明。

声明で、FDAが政治的圧力を受けてワクチンを承認するという憶測は「公衆衛生システムへの信頼を損ねるだけだ」とし、「不適切な圧力を受けて辞任しないFDA当局者と会ったことはない」と述べた。

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