泥棒に立ち向かい銃で打たれたブルテリア 手術で奇跡の回復

フィラデルフィアに住む5歳のブルテリアのビリーはこの1月、武装した強盗犯から飼い主を救うために命を懸けて戦いました。数カ月後、州の獣医師会からその勇気を称えられ、表彰されました。

8月14日に、ビリーは2020年ペンシルバニア獣医師会の動物ヒーロー賞を受賞しました。獣医師会のエグゼクティブディレクター、ジェニファー・キーラー氏は、「ビリーが選ばれたのはビリーが賞の本質を体現したからです。私たちは通常、賞に値する介助に賞を与えていますが、ビリーは訓練を全く受けていない犬だったのです。本当に驚きです」と語ってくれました。
 

(Illustration – tratong/Shutterstock)

1月14日未明、工学部生のフェリペ・シニステラさん(25)と彼のガールフレンドのナタリア・ゴメスさん(23)は、西フィラデルフィアの自宅近くでビリーの散歩をしていました。

シニステラさんは働いていた寿司屋の夜勤を終えたばかりで、二人は路上で武装強盗犯に声をかけられました。シニステラさんは彼の携帯電話を強盗犯に手渡すと、ビリーが激昂して、強盗犯に吠え始めました。泥棒はパニックに陥り、ビリーに向かって発砲しました。

近くにいた警官が現場に駆けつけ、警察が護衛し二人はライアン動物病院へ向かいました。弾丸はビリーの心臓、左肺、横隔膜、肝臓、胃、脾臓を貫通していました。

複雑な手術を2回も行い、ICUでの数週間過ごしました。そして30人の医療チームに献身的な介護にあたってもらい、48,000ドル以上の請求書が二人のもとに届きました。シニステラさんとゴメスさんは、医療費をどうやって捻出するか不安に思いながらも、毎日のようにICUにいるビリーの見舞いに病院へ通いました。
 

フィラデルフィアにある動物病院・治療施設「ペン動物病院」(Screenshot/Google Maps)

しかし、しばらくしてシニステラさんのSNSのコミュニティではビリーの勇敢な行動に注目が集まり、ビリーのための募金が殺到し始めたのです。GoFundMeキャンペーンへの寄付や病院への寄付、個人からのものと合わせて、最終的にビリーの獣医費用を全額支払える額に上りました。

GoFundMeキャンペーンだけでも27,000ドル以上の寄付が集まりました。

ビリーは若くて健康だったため、怪我をしていたにもかかわらず予後は良好で、身体も完全に回復しました。「親友のベッドで回復を待っている間、本当に不安でした」とシニステラさんは話してくれました。シニステラさんは2015年、25歳の誕生日に祖母からのプレゼントとしてビリーを飼うようになり、それからずっと二人は一緒でした。

ビリーに代わってシニステラさんがペンシルバニア獣医師会の英雄賞を受け取りました。シニステラさんは、ビリーの介護にあたってくれた動物病院の医療チームは専門知識も豊富で素晴らしいチームだとその場で医療チームを賞賛しました。

ペン獣医学校と病院の広報担当者マーティン・ハケット氏は「ビリーとシニステラさんとの関係は非常に特別な関係で、単なるペットと人間というを超えたとても強い絆で結ばれています。今回の事件は、とても心温まる例でした。私たちは、ビリーとシニステラさんが今までとても長い時間、関係を築いてきて、切っても切れないとても強い絆で結ばれているということ知り、とても嬉しく思いました」と話してくれました。

シニステラさんは、3月にレストランでの職を失い、コロナ感染拡大防止のロックダウンという状況で、苦しい思いをしていました。そこでペンシルバニア北部にある母親の家に引っ越すことにしたシニステラさんですが、田舎好きのビリーにとっても、田舎での暮らしが安らぎになったと彼も感じています。

「ビリーは今、田舎でたくさんの自然がある場所で楽しく生活しています。身体もほとんど完全に回復しています。ものすごく元気です」
 

(Illustration – AleMasche72/Shutterstock)

ビリーはあの事件以降、自分の勇敢な行動を誇りに思っているようです。「今は誰よりもビリーが注目の的になっていると思うし、ビリー自身もそれを分かっていると思います。あの時、ビリーが助けてくれたことを本当に感謝しています」と話してくれました。

ペンシルベニア獣医師会の動物ヒーロー賞は、2001年に始まり、その最初の受賞者の名前からその名がつけられました。4カ所の銃弾を浴びながらも、武装した容疑者を逮捕したハリスバーグ警察犬が最初の受賞者です。

ビリーは、9.11の救助犬グループや竜巻から家族を守ったK-9というグループからも賞をもらいました。

(大紀元日本ウェブ編集部)