【紀元曙光】2020年9月23日

モンゴル帝国の第5代皇帝であり、中国史でいう元朝の初代皇帝でもあるフビライ(クビライ)はチンギス・ハンの孫に当たる。
▼調べて知ったが、フビライは1215年9月23日に生まれた。805年前の今日である。フビライが統治したモンゴル帝国の最盛期には、アジアからヨーロッパまで、世界の4分の1を占める大帝国となっていた。
▼その頃には、中国全土も、モンゴル人による元朝の統治下にあった。ゆえに、モンゴル人は今でも民族としての自尊心がつよく、漢族である中国人に対して屈することを頑として拒む。いわゆる内モンゴルのモンゴル人は、もちろん中国語を聞いて理解し話すこともできるが、それは第二言語であり、あくまでもモンゴル語が自民族の母語であると信じて疑わない。
▼フビライといえば、私たち日本人には忘れ難い人物である。日本はその中世史において、文永の役(1274)と弘安の役(1281)という2度の対外戦争を経験する。火薬をつかった爆裂弾には驚かされたが、いずれも鎌倉武士の奮戦により、元と高麗の連合軍を撃退している。本当に暴風雨の神風が吹いたかどうかは分からない。後世への言い伝えには神秘性をもたせる脚色がつきもので、「神風が吹いた」もその類らしい。
▼フビライの偉いところは、モンゴル文化の保存を心がけながら中国文化を受容し、よく漢籍を学ぶよう、モンゴル人の王侯貴族に自ら命じていることだ。
▼そのように、自らすすんで学ぶならば良い。だが、モンゴル語を捨てて中国語だけを強制することは、彼らの民族の誇りが絶対に許さない。