ノーベル化学賞に仏米女性2人、遺伝子改変の「はさみ」開発

[ストックホルム/ベルリン 7日 ロイター] – スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2020年のノーベル化学賞を、遺伝子を改変する「はさみ」を開発し、がんの新たな治療に貢献したほか、遺伝性疾患の治療の可能性を見いだした女性研究者2人に授与すると発表した。

受賞者はフランスのエマニュエル・シャルパンティ氏と米国のジェニファー・ダウドナ氏。動物や植物、微生物のDNAを正確に改変する「クリスパー・キャス9」を開発した。賞金1000万クローナ(110万ドル)を2氏で等分する。

スウェーデン王立科学アカデミーは「DNAを好きなところで切れる技術は生命科学に大改革をもたらした」と話した。

ノーベル化学賞の受賞者に男性がいなかったのは、1964年に英国女性のドロシー・ホジキン氏が単独でノーベル賞を受賞して以来となる。

マックス・プランク感染生物学研究所に務めるシャルパンティ氏は、2人の女性がノーベル化学賞を受賞するのは初めてで、科学が現代化し、女性のリーダーが出てきたことを示すと述べた。

ダウドナ氏はすでに、生命工学のスタートアップ企業であるマンモス・バイオサイエンスの共同創設者として、クリスパーを用いた新型コロナウイルスとの闘いに挑んでいる。新型コロナ診断テストの開発に向け製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)<GSK.L>と提携している。

クリスパーはこれまでもノーベル賞の有力候補として挙がっていたものの、神のような力を科学者に与える技術であり、遺伝子を改変した「デザイナーベビー」をつくるなど、乱用の可能性があるとの懸念がある。

ノーベル化学委員会を率いるクレス・グスタフソン氏は「この技術は多大な力があるため非常に気を付けて使わなければならない」と述べた。

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