中国が台湾人に優先的にコロナワクチン接種、台湾政府は警戒

[台北 21日 ロイター] – 中国当局は本土に滞在する台湾人に対して優先的に新型コロナウイルスワクチンの接種を実施しているが、台湾政府は人気取り政策の一環とみて神経を尖らせている。

台湾ではワクチン接種は始まっていないが、中国本土では台湾人に対して無料で接種が行われている。

共産党序列4位の汪洋全国政治協商会議主席は今週、台湾人が「祖国との統一」に利益を感じられるように、台湾人に対して包括的な便益を提供するよう政府関係者に指示した。

中国本土でワクチンの接種を受けた台湾人の数は明らかでない。

この問題を調査している台湾の安全保障当局者は「これは中国本土に対する台湾のビジネスパーソンの忠誠心を強め、与党民進党に一段と圧力を加える戦略だ」と語った。

台湾で対中政策を担当する大陸委員会は声明を発表し、ワクチンの接種は医療専門家の問題であり「政治的な宣伝活動として利用すべきではない」と指摘。中国でワクチン接種を受ける際には「安全性と必要性を慎重に評価」すべきとし、今後も状況を注視していく考えを示した。

台湾当局は中国製ワクチンのリスクを繰り返し指摘し、中国で接種を受けても台湾に戻った際には2週間の自主隔離を義務付けている。

これに対し、中国の国務院台湾事務弁公室は台湾政府が「政治的な目的」で中国のワクチンに対する「根拠のない懸念」を広めていると非難し、ワクチンは「非常に安全」と主張している。

台湾は英アストラゼネカ製のワクチン1000万回分を含む約2000万回分のワクチンを手配したが、配布は3月以降になる予定だ。

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