嘉納治五郎記念センターが昨年末で活動終了、五輪招致に関与

[東京 26日 ロイター] – 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が代表理事を務め、東京大会の招致活動にも関わっていた一般財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」が、2020年12月末に活動を終了していたことが分かった。同財団を巡っては、東京大会の当時の招致委員会から、使途不明の資金が支払われていたことがロイターの取材で明らかになっている。

同財団のウエブサイトは現在、「一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターは、2020年12月末をもちまして活動を終えました」との案内を表示。電話には応答がなく、職員に対するメールの問い合わせにも返答がなかった。

森会長には組織委員会を通じて問い合わせたものの、現時点で回答がない。昨年11月の記者会見では、同財団の財務については直接関与していなかったと答えている。

多羅尾光睦・副知事が評議員を務める東京都の担当者は「(同財団の)活動が終了することについては説明を受けていないし、知らなかった」と話した。

ロイターは五輪の東京招致を巡り、当時の招致委員会から電通の元幹部の会社や嘉納治五郎センターなどに、使途が明確でない多額の資金が支払われていたことを数度にわたって報じた。東京招致をめぐっては、今なお国際的な贈収賄疑惑の捜査が続いている。

同財団には、招致委員会から約1億4500万円が支払われていることが、ロイターが閲覧した同委の銀行口座記録に記載されている。この銀行口座の記録は日本の検察がフランス側に提供した。

同財団は2009年5月に設立。日本オリンピック委員会の創設者である嘉納治五郎の理念を継承し、スポーツ国際交流・協力等の活動を通して国内外のスポーツの発展を図ることなどを目的にしている。

同財団の事務局職員は、招致活動のために米国のコンサルティング会社1社と個人コンサルタント2人と契約を交わしたことを認めている。この職員はロイターに対し、招致委から支払われた資金については、招致に関わる国際情報を分析することが主な目的だったと答えた。

(宮崎亜巳、斎藤真理 編集:久保信博)

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