バイデン氏、不法入国の家族再会で作業部会 移民政策を慎重に転換

[ワシントン 2日 ロイター] – バイデン米大統領は2日、メキシコとの国境における難民申請手続きの見直しや、トランプ前大統領の「ゼロ寛容政策」によって国境で引き離された不法入国者の家族の再会に向けた作業部会を設置する大統領令に署名した。

バイデン氏は署名に際し「家族に抱かれた子どもをはぎ取るという、前政権の倫理的にも国としても恥ずべき行為を取り消すためにわれわれは取り組む」と強調した。

移民推進派はバイデン政権に迅速な行動を求めているが、バイデン氏の側近らは、トランプ前政権が導入した幾重にも絡み合う規制を解きほぐし、移民寄りの制度を確立するのは時間を要すると指摘。

ホワイトハウスのサキ報道官は同日、「一夜にして変わることはない」と述べた。

事実、バイデン氏はトランプ氏の強硬な移民政策を転換すると同時に、不法入国者の急増を防ぐ必要があり、難しい舵取りを迫られている。バイデン氏が性急に事を進め、適切な手続きを省けば、反対派が提訴してバイデン氏の取り組みを頓挫させたり遅らせる可能性もある。

バイデン氏がこの日署名した大統領令は、新型コロナウイルス対策としてトランプ政権が発令した、違法な越境者の強制退去に関する規制の廃止は含まれなかった。

メキシコ国境を越えて米国に不法入国し、保護申請した移民を審査の間メキシコ側で待機させる制度(Migrant Protection Protocols)に関しては見直しを指示。バイデン政権は既にMPPの新規受け付けを停止しているが、既に申請があった分についての対応はまだ明らかにしていない。

バイデン政権の高官は1日、記者団に「同制度の代替措置を導入するのにどれだけの時間がかかるのかは、はっきりとは言えない」と述べた。

バイデン氏はさらに、トランプ政権が「公的負担」を理由に導入した、低所得層の移民への米国永住権(グリーンカード)の発行を制限する規制の見直しも指示した。

1月に裁判所に提出された関連訴訟の資料によると、親と引き離されたままの不法移民の子供は600人以上おり、新設の作業部会による親探しは難航が必至だ。ある高官によると、2日に上院に承認されたマヨルカス国土安全保障長官が作業部会を率いる見通し。

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