チベットの光(序文)

人生で重要なものは何であろうか。幸福(happiness)こそが重要である。しかしながら、わたしたちはこの問題を解決できていない。では、いったい何がわたしたちに幸福を感じさせてくれるのであろうか。

 八十年代、わたしはチベットで野外作業に従事していたことがあり、常にチベット族の遊牧民と一緒であった。当時、わたしたちの間で流行していた笑話がある。もし中国が第三世界であるなら、チベットは第六世界である。もしチベットの経済が没落したら、原始生活に戻ってしまうだろうというものだ。大部分の遊牧民は、まともな衣服など着ていなくて、羊の皮を一枚鞣したものを身にまとい、夜はテントの中で寝ていた。遊牧民の家の中はがらんとして何もなく、わたしたちが使い古した洗面器は、彼らの食器として使用されていた。しかし、かれらとは総じて気心が通じ合い、それがわたしに深い印象を与えた。夜になると、彼らは焚火を囲んで歌い、ときには舞い踊った。それはみずからの内から発する喜悦であり、それを聞く人は雪山や森林と相通じたかのように感じたものだ。

 冬の端境期には、広東の両親の元へと帰った。この辺りは、八十年代に中国で最も繁栄した区画だ。経済の開放が早かったため、私の竹馬の友たちの多くが商売をやっていた。その頃大陸が私企業を認め始め、これらの友人たちは最も早く社長に就任し、財産をため、車を持ち、ビルを所有し、私を豪華なレストランに誘った。しかし、彼らは本当に幸福になったのではなく、かれらの心は緊張と焦りでいっぱいで、あるときには気落ちして意気消沈帳していた。煌びやかなディスコの中でさえ、彼らからは空虚な苦悶を感じた。

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