(archer10 (Dennis)/Creative Commons)

チベットの光 (21) 聖者到来の夢

 ロンツァ地方に、「マルバ釈師(※)」という人がいた。彼はインドのノノバ尊者に直接師事し、大きく成道した尊者だった。ウェンシーは、「マルバ釈師」の名号を聞くと、心の中に言い知れぬ喜びが湧いてきて、涙が止まらなかった。彼の心の中に無限の歓喜と比類なき信仰心が生まれたのだ。

 彼は、マルバ尊者を師父とすることに決め、さっそくロンツァ地方へと足を運んだ。彼は道すがら、全身に喜びが満ち溢れ、心の中で、「ああ!早く先生に会いたい」と思った。

 ウェンシーがロンツァ地方に着く前日の晩、マルバ尊者は夢を見た。彼は、夢の中で師父のノノバ尊者に会い、師父から五色の玉石で彩られた金剛の杵を授かった。その杵は、突端が少し灰で汚れていたが、師父から、また別の柄杓を授けられ、その中は甘露でいっぱいであった。

▶ 続きを読む
関連記事
身近な卵が、実は脳や筋肉、目の健康まで支える完全栄養食だと知っていますか?最新研究と実用的なコツから、卵の本当の力と毎日の取り入れ方を分かりやすく紹介します。
第一次世界大戦の塹壕で、敵同士の兵士が同じクリスマスの賛美歌を歌い、銃を置いた夜があった。天使ではなく、人の声が「地に平和あれ」を響かせた奇跡の物語
冬の冷えで不調を感じやすい季節に。中医学の考え方から、腎を温め心と脳を守る「にらラーメン」を解説。身近な食材でできる、冬の養生をやさしく学べる一編です。
抗うつ薬は本当に「脳の不調」を治しているのか。元FDA医師が、化学的不均衡説の限界と長期投薬のリスクを指摘し、うつ病治療を根本から見直す必要性を訴えます。
なぜ私たちは、気づかぬうちにネガティブ思考の渦に飲み込まれてしまうのか。脳科学と最新研究から「絶望のループ」の正体をひもとき、抜け出すための具体的なヒントを探ります。