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【漢詩の楽しみ】買 花(花を買う)

 帝城春欲暮、喧喧車馬度、共道牡丹時、相随買花去、貴賎無常価、酬直看花数、灼灼百朶紅、戔戔五束素、上張幄幕庇、旁織笆籬護、水洒復泥封、移来色如故、家家習為俗、人人迷不悟、有一田舎翁、偶来買花処、低頭独長嘆、此嘆無人諭、一叢深色花、十戸中人賦。

 帝城(ていじょう)春暮(く)れんと欲し、喧喧(けんけん)として車馬(しゃば)度(わた)る。共に道(い)う、牡丹(ぼたん)の時、相い随いて花を買いに去(ゆ)くと。貴賎(きせん)に常価(じょうか)無く、酬直(しゅうち)花の数を看る。灼灼(しゃくしゃく)たり百朶(ひゃくだ)の紅。戔戔(せんせん)たり五束(ごそく)の素。上(かみ)は幄幕(あくばく)を張りて庇(おお)い、旁(かたわら)は笆籬(はり)を織りて護(まも)る。水を洒(そそ)ぎ復(ま)た泥もて封(も)れば、移し来たるとも色故(もと)の如(ごと)し。家家(かか)習いて俗を為さば、人人(ひとひと)迷いて悟らず。

 一田舎翁(いちでんしゃおう)有り。偶(たまたま)花を買う処に来たれば、頭(こうべ)を低(た)れて独(ひと)り長嘆(ちょうたん)す。此の嘆(たん)人の諭(さと)る無し。一叢(いっそう)の深色の花は、十戸(じっこ)の中人(ちゅうにん)の賦(ふ)なりと。

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