古代中国の医師(garryknight/Creative Commons)
≪医山夜話≫ (46)

人身

私は昼間、診療所で患者を治療した後、家に帰ってから治療の心得を医療カルテに書き込みます。例として挙げたケースの多くは、漢方医が持つ病気治療の効果を読者に伝えるために最も適していました。一方、多くの難病は人間の「業力」と関係しており、遠い前世から積み重ねてきた業力の大きさが病の重さを決めているのです。医者として、その因縁関係を知っていても、はっきりと患者に告げられない場合もあります。

 世の中の道徳は日ごとに低下しており、奇怪な病が増えてきました。患者も、一時しのぎの措置を取る治療法を好む傾向にあります。重病にかかり、命さえ危うい状況なのに、薬が苦い、鍼灸が痛い、病院に通う時間がないなどと訴えてきます。

 古人曰く、「未だ危うい前に命を惜しみ、未病を治す」。どういう意味なのでしょうか。危険な状態になる前に命を大切にし、病気が現れる前に治療すると言っています。他にも、「喉が渇く前に井戸を掘る」ということわざもあります。

▶ 続きを読む
関連記事
「アヒルの足」と呼ばれる扁平足。見た目の問題と思われがちですが、放置すると骨格や筋肉の発達に悪影響を及ぼし、慢性的な痛みや体力低下につながることもあります。特に成長期の子どもには早期対応が重要です。
117歳まで大病なく生きた女性の“赤い数値だらけ”の検査結果が示したのは、完璧な数値ではなく、日々の習慣がつくる回復力でした。長寿の新しい視点に迫ります。
高たんぱく食が健康の近道と思っていませんか? 実は食べ方を誤ると老化を早める可能性も。栄養士が教える、たんぱく質と炭水化物の正しいバランスとは。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。
台湾の中医師・周宗翰氏が、健康長寿のために実践している3つのアンチエイジング習慣を紹介。睡眠・食事・血流の3方向から老化を防ぐ秘訣を、中医学と最新研究の両面から解説します。